翠も甘いも噛み分けて
 どのくらい沈黙が流れただろう。ほんの数秒か、数分か、時間の感覚が分からない。ようやく決心した翠は、幸成の首に両手を回した。

「いいんだな……?」

 幸成が、翠に意思確認をする。翠はその言葉にキスで返事をすると、途端にそのキスが激しくなった。翠に覆い被さる幸成は、その体重を翠にかけて、逃げ道を塞ぐ。でもその反面で、幸成は翠を怖がらせないように、まるで宝物に触れるように、優しくそっと翠の身体を撫でた。幸成が触れるたびに、翠の身体は熱を帯びていく。

「スイ……高校の頃からずっと好きだった」

 幸成の告白に、翠の瞳から再び涙がこぼれ落ちた。一瞬なぜ翠が泣いたのか、自分がなにか変なことを言ったのか取り乱すも、翠の表情を見て安心した。翠は笑顔を浮かべている。

「私も……、幸成のこと、好きだった。随分、遠回りしちゃったね」
「ああ。でももう、離さない」

 幸成は再び翠にキスをすると、翠が着ている服に手をかけた。カーディガンのボタンを外し、下に着ていたブラウスのボタンを不器用ながら一つ一つ、ゆっくりと外していく。

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