翠も甘いも噛み分けて
VERDEに込めた想い
 目が覚めると、幸成の喉仏が視界に映った。どうやら翠は行為が終わった後、疲れ果てて眠ってしまったようで、幸成が腕枕をしてくれている。寝室のドアはいつの間にか閉められていて、室内は常夜灯が点灯していた。先ほど幸成に激しく突かれた翠の身体は、ちょっと動くだけで下腹部に鈍痛が走る。下半身も日頃使わない筋肉を動かしたせいで、軽く筋肉痛だ。
 翠は今の時間を確認したくて身体を動かしたその時、幸成の声が聞こえた。

「目が覚めた? 身体、大丈夫か?」

 幸成が身体を動かして翠の顔を覗き込む。その表情は、今まで見たことがないくらいに穏やかで、優しく翠を見つめている。翠がぎこちなく頷くと、幸成は翠の額にキスをした。

「無理させてごめんな。喉乾いてないか? それと、身体が大丈夫ならケーキ、食べるか? さっきお預け状態のままだったからな」

 そうだ、幸成のケーキを毎日食べさせてくれる約束だったのに、まだ今日は食べていないことに気づいた翠は、身体を起こした。

「コーヒー淹れておくから、着替え済ませたらおいで」

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