天才脳外科医はママになった政略妻に２度目の愛を誓う
「啓介さんが？」

「莉子に浮気したと言われて。流樹を見てどれほど嫉妬したか。莉子には想像できないだろう」

　あ……。

　流樹と対面したときの啓介さんはとても怖かった。

　ただ怒っているのだと思ったけれど、嫉妬したの？　啓介さんが？　嘘よね。

　リップサービスだと受け取って席に着く。

「さあ、食事を済ませよう」

　お好み焼きは、まだ半分以上残っている。

　取り分けながら聞いてみた。

「啓介さん、どうして私と結婚したの？」

　そもそもの話、私はずっと不思議だった。

　だからこそ啓介さんは病院が欲しかったのだと鈴本小鶴に言われて、簡単に納得したんだもの。

「toAの燎の執務室で初めて莉子を見たとき、ひと目惚れしたんだ。前にも言っただろ？」

　啓介さんはフッと笑うけれど、とても信じられない。

「信じられないか？」

「だって、私はそんな」

　自分を卑下するわけじゃないが、啓介さんのようにどんな女性でも選べる条件のいい男性に、私が見初められる理由が、どうしても思い浮かばない。

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