天才脳外科医はママになった政略妻に2度目の愛を誓う
 母は長野がすっかり気にいっているからと啓介さんには言ってあるが、帰らない本当の理由は、啓介さんを許していないからだ。

『半年家を空けていても迎えにこなかったのよ?、どう考えてもおかしいでしょ?』

 それは私が来ないで欲しいと頼んだからだと訴えても納得しなかった。啓介さん自身も軽井沢に迎えに行けばよかったと後悔していたが、母は理解できないと言う。

 ましてや鈴本小鶴との関係を説明できないというのも、母の不信感を煽る結果となった。

 電話では埒があかず直接母と話をしたかったが、乃愛を連れてではそう簡単に行けない。

 そこでたまたま啓介さんがいないと知った母が、ようやく会いに来ると言ってくれたのである。

 この機会になんとか母に納得してほしい。

 このまま絶縁だなんて悲しいもの。



 そして午後二時過ぎ、母が帰って来た。

「乃愛ちゃーん、ばあばよ」

 母は山のようなお土産を持って現れた。

 ベビー服や帽子やオモチャの数々を乃愛に見せる。

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