天才脳外科医はママになった政略妻に2度目の愛を誓う
 いつもワイシャツ姿だったが今日は朝から肌寒いせいか、彼はスーツの上着を着ている。

 彼のスーツ姿は本当に素敵だ。すらりと背が高くて脚が長いからなにを着ても似合うけれど、スーツのときはより一層男らしく感じる。

 袖から覗く白いシャツ、そして力強さを感じさせる手の長い指が、本を積み重ねていく。

 でも、彼はやつれて見えた。

 なんでも完璧なあなたは、自分のことになると二の次になるから心配だ。

 体を大事にしてほしいのに……。

「差し入れです」

 なんてことのない自販機の炭酸水だけれど、啓介さんは気分転換のためにこの炭酸水をよく飲んでいたから。

 弾けたように笑って彼は「ありがとう」とペットボトルを受け取った。

「ちょうど喉が渇いていた」

 それは本当らしく、キャップを開けてゴクゴクと勢いよく飲む。

「整理はついたんですか?」

「なんとか片づいた」

「お疲れさまでした」

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