天才脳外科医はママになった政略妻に2度目の愛を誓う
「なるほどね。研修医にもいるんだよ、覚悟してなったはずが、オペの見学中に倒れちゃうとかね」

「うわぁ、それは気の毒に。私は多分カンファレンスに参加するだけで気絶する自信あります」

 あははと笑い合った。

 医者の娘として笑い事ではないが、本当だから仕方がない。

「それで、話は戻るけど、君はあくまで家のため、愛のない結婚をするつもり?」

 半分当たっていて半分外れている。

 政略結婚に思う私の夢は、慈しみ合い愛し合う夫婦だ。

 結婚してからでもいいから愛し愛されたい。順番は違っても、恋ができたらなと思っている。

 なのに、最初から愛のない結婚とか言われてしまうと悲しい。

「正直に言って欲しい。君の質問の通りに返すならば、君だって俺じゃなくてもいいだろうし」

 どう答えていいのか。

 啓介さんの言う通りではある。でも。

「誰でもいいわけじゃないです」

「じゃあ、俺じゃ不満ってわけだ」

「ち、違います!」

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