天才脳外科医はママになった政略妻に2度目の愛を誓う
 年齢よりも落ち着いて見える啓介さんと並んでも、釣り合って見える自信はない。ましてはあなたは抜きん出て素敵な人なのに。

「この場で返事しなくてもいいよ」

 顔を上げると啓介さんは庭に目を向けながら、お茶を飲んでいた。

 端正な横顔だ。いつまでも眺めていたくなるような少し憂いを含んだ目もとに、しっかりとした強い意志を感じるさせる口もと。

 本当に魅力的な人だと思う。こんな人が私の夫になってくれるという。

 啓介さん。あなたは私の夢を叶えてくれるんですか。

 私を愛してくれるの?

 心の中で聞いて、自分を叱咤した。

 そうなるよう自分も努力すればいい。いい妻になれるように。

 自分の責任で決めて、ちゃんと言わなきゃ。大人の女性として。

 振り向いた啓介さんをしっかりと見つめた。

 ドキドキと鼓動は暴れるし眩暈がしそうだけれど、膝の上の両手を強く握って自分を保つ。

「私も、このお話お受けしたいです」

 少し間をおいて、彼は柔らかく微笑む。

「そう。よかった」

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