天才脳外科医はママになった政略妻に2度目の愛を誓う
 今日は日曜日だから、急な呼び出しがなければ家にいられるはずだが、どうだろう。ここ二週間ほどゆっくりふたりの時間を過ごせないでいる。

 彼は内科ではなく脳外科医だ。山上総合病院は救急患者も受け入れているから、仕方ないのよね。

 ぼんやりと自分に言い聞かせ、そのままキッチンへ行きコーヒーをセットした。

 頭も体もまだ眠い。

 ダイニングテーブルに突っ伏して、響き始めたコポコポというお湯が噴き出る音と聞き、苦み走ったコーヒーの香りを鼻腔で感じていると、ふわりと髪を撫でられた。

「まだ寝ていらばよかったのに」

 啓介さんの長い指が頭皮を刺激する。

 指先が首筋に触れ鼓動がぴくりと跳ねる。さわさわと妖しい感覚が呼び起こされそうになり、ハッとして体を起こす。

 朝からおかしな気分になっている場合じゃない。

「おはよう、啓介さん。今日はお休みでしょ?」

「うん。救急がなければね」

 シュンと心が沈む。

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