天才脳外科医はママになった政略妻に2度目の愛を誓う
 まだ言ってるし。

「じゃあ、これから水族館に行くか。ママがいいっていったらな」

 私を見て乃愛をそそのかす彼に思わず笑った。

「もう、ずるいんだから」

 仕方ない。とりあえず今日は一日家族をしよう。

「乃愛、よかったね、今日は朝からパパとお魚って言い続けていたの」

「ん? そうなのか」

 乃愛はわかっているのかいないのか、啓介さんが食べさせたリゾットを頬張って、「おいちい」と、キャッキャと喜んでいる。

 目の前で繰り広げられる幸せで切ない時間。

 食後のコーヒーを飲みながら複雑な思いで乃愛を見つめていると、啓介さんが「莉子」と声をかけてきた。。

「今日はゆっくり俺たちの今後について話し合おう」

 私たちの今後?

「うん。そうね」

 私もこのままじゃ、どうしていいかわからないもの。



 食事が終えると、私たちはその足で水族館に向かった。

 タクシーを降りた後、手を繋いで歩くには身長差がありすぎて、乃愛は啓介さんが抱っこしている。

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