天才脳外科医はママになった政略妻に2度目の愛を誓う
 苦笑いを浮かべる彼女に真顔で言った。

「本気だ。君にプレゼントをできる男はまだ俺だけのはずだぞ」

 目を丸くして、ポッと頬を染めた彼女は「もうー」と怒る。

「そんなに子どもっぽい人だと思わなかったわ」

「まあな。俺はもう我慢をしないと決めたんだ。覚悟した方がいいぞ」

 空いた口が塞がらないといった様子の莉子が呆然としているところでコーヒーとパフェがきた。

 言った通り、俺はもう、莉子に対して遠慮も我慢もしないと決めた。

 不器用なりに自分の幸せを掴み取る。

 

 自分勝手なのは十分わかっている。いい加減にしてくれと愛想をつかれる可能性は十分あるが、気にする余裕はない。

 ほかの男に攫われるのを唯々諾々と受け入れるわけにはいかないからな。

 夕べ内科医のドクターが会いにきた。彼女は以前莉子が浮気を疑った女性ドクターだ。

 俺がスカウトして山上に呼んだ手前責任がある。病院ではなくわざわざ会って話がしたいというので、食事がてらスペインバルで待ち合わせた。

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