天才脳外科医はママになった政略妻に2度目の愛を誓う
『うーん。そうですかね』

 俺は自分の経験を話した。

 一生恋とは無縁だと当然のように信じていた。

『俺だって莉子に出会うまでは、恋もだが結婚もしなくていいかと思っていたよ』

『え? それなのに離婚したんですか』

『事情があってな。でもまたプロポーズをしようと思うんだ』

『うわー、勝手ですね』

 笑われたが当然だろう。

 最後はお互いの健闘を祈って別れた。

 

 買い物を終えてホテルに戻ったときはすでに暗くなっていた。

 スイートルームに入って荷物を置き、まずは乃愛と一緒にシャワーでも浴びからてゆっくりしようと思うと、乃愛が俺の脚をポンポンと叩く。

「パパ。こっち、こっち」

 乃愛についていく先には莉子がいて、彼女は楽しそうに笑っている。

「ママ」

「はーい。どうしたの」

「おてて」

 乃愛は莉子の手と左手を繋ぎ、俺を振り返った。

「パパもおてて」

 上半身を屈め手を繋ぐと、俺たちの手を引っ張って向かった先は、夜景が見下ろせる窓だった。

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