天才脳外科医はママになった政略妻に2度目の愛を誓う
 どうやら窓際にひとりで行くのは怖かったらしい。

「綺麗ねー、キラキラよ」

 ギュッと俺たちの手を掴みながら、恐る恐る首を伸ばして外を見る乃愛が可愛くて、思わず笑う。

 本当は乃愛が寝てから言うつもりだった。

 でももう待てない。

「莉子、頼む。俺と再婚してくれないか」

 ギョとしたように俺を振り返り、目を丸くする莉子に畳みかけた。

「もうこの幸せを手放したくない」

 みるみる表情を歪めた莉子は空いている方の手で口もとを覆う。

「ずるい……ここで、言うなんて――」

「すまない。俺は実は子どもっぽくて、ずるい男なんだ」

 空いた左手を伸ばし莉子の涙を拭う。

「なぁ莉子。頼むから結婚してくれ、俺と。理事長だってオペだって、君が望むならなんでもする。だから」

「パパ、ママをいじめたの?」

 視線を落とすと、乃愛がちょっと怒った顔で俺を見上げていた。

 

「やっぱり疲れたんだな」

「そうね」

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