天才脳外科医はママになった政略妻に２度目の愛を誓う
　啓介さんは評判通り優秀な脳外科医だった。

　結婚してまだひと月しか経っていないのに、啓介さんがいるというだけで、山上総合病院の経営は早くも上向きになってきたらしい。

　啓介さんを指名してくる富裕層で特別室はいつも満員だというし、その人たちがくれる謝礼金だけで借入金の月々の返済が賄えるとか。

　秋になったら外壁を塗り替えたり、少しづつリフォームも始めるらしい。新生山上総合病院を見るにが楽しみだ。

　そんなこんなで、彼は忙しい。

　外来の患者だけでなく、救急の患者を受け入れて彼も自ら執刀するし、医者としてだけじゃなく、父について病院経営の雑務まで携わっている。

　だから、こんなふうにイチャイチャできる朝は少ない。

　とっても寂しいけれど、我慢しなくちゃいけない。彼は私の夫だけれど、たくさんの患者さんを抱えるお医者さまなんだもの。

　シャワーを浴び着替えてキッチンに行くと、啓介さんは新聞に落としていた目を上げてにっこりと微笑む。

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