天才脳外科医はママになった政略妻に2度目の愛を誓う
「俺の子なら、手放すわけにはいかないし」

「嘘でしょ?」

「どうして嘘だと思うんだ」

 だって、あなたには私以外の女性との間に子どもがいるじゃない。

 その子がいれば十分でしょ。

 それにしても、そんな理由があったなんて……。

「なに百面相してるんだ? おもしろい顔になってるぞ」

 啓介さんは楽しそうにあははと笑う。

「ちょっと、笑い事じゃないでしょ!」

「そうか? 笑うしかない状況だろ。俺があくせく働いているうちに、妻が浮気をして子どもまで産んだって言うんじゃな」

 そ、それはそうだけど。

「でも、どうして、その。……子どもができにくいなんて」

「学生の頃、高熱を出してしまって。そのときに」

 啓介さんは溜め息をつく。

「ちゃんと調べたわけじゃないんでしょ?」

 だって、あなたの子だもの。本当に。

「いや、自分で調べたさ。その頃すでに医学部生だし。まあできにくいかも?、くらいだったがな。俺は子どもは欲しいし。ちょうどいいから裁判するぞ」

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