天才脳外科医はママになった政略妻に2度目の愛を誓う
院長の執務室に入るのは数年ぶりになる。
昔からずっと変わっていない事務机と椅子に、スチールのキャビネット。部屋の中央にはシンプルな応接セットのテーブルとソファー。装飾品は観葉植物がひとつあるだけだ。
控えめな人柄そのままの執務室にホッとする。
こんなふうに気軽に寄れるのは、この部屋しかいないから。
「どうぞおかけください」
「ありがとうございます」
感傷に浸っている時間はない。座るなり、単刀直入に聞いてみた。
「院長、教えてほしいんです。ここで働いていた父の側近の人たちはみんな辞めてしまったのはどうしてですか?」
啓介さんが意味ありげに『理由は調べたのか』と言った理由を聞かなきゃいけない。
「部長たちも看護師長も、気づいたらみんな辞めていて。どうしてなのかなと」
院長は、表情を曇らせた。
「お嬢様、彼らは側近というよりも、お父様の周りをうろつくハイエナだったんです」
「えっ? でも父はそんな……」
昔からずっと変わっていない事務机と椅子に、スチールのキャビネット。部屋の中央にはシンプルな応接セットのテーブルとソファー。装飾品は観葉植物がひとつあるだけだ。
控えめな人柄そのままの執務室にホッとする。
こんなふうに気軽に寄れるのは、この部屋しかいないから。
「どうぞおかけください」
「ありがとうございます」
感傷に浸っている時間はない。座るなり、単刀直入に聞いてみた。
「院長、教えてほしいんです。ここで働いていた父の側近の人たちはみんな辞めてしまったのはどうしてですか?」
啓介さんが意味ありげに『理由は調べたのか』と言った理由を聞かなきゃいけない。
「部長たちも看護師長も、気づいたらみんな辞めていて。どうしてなのかなと」
院長は、表情を曇らせた。
「お嬢様、彼らは側近というよりも、お父様の周りをうろつくハイエナだったんです」
「えっ? でも父はそんな……」