天才脳外科医はママになった政略妻に2度目の愛を誓う


 啓介さんと流樹を会わせる約束の日が来た。

 乃愛が一緒なので待ち合わせ場所は家の近くにしてもらった。

 病院からもほど近い路地裏の小さな喫茶店。夜はお酒を出すお店なので店内は仄暗い。誰にも聞かれたくない話をするには格好の店である。

 啓介さんとの待ち合わせの三十分前に流樹と店で合流した。

「俺が抱こうか? その方が信憑性があるだろ?」

「うん。そうだね、ありがとう」

 流樹の膝の上で、
 乃愛は、つぶらな瞳をパチパチさせる。

「ごめんね流樹」

「いいよ。俺もだてに修羅場くぐってないし」

 流樹はあきらめたような笑みを浮かべ、乃愛をあやす。
「乃愛、即席のパパだぞぉ」

 乃愛がいるし、啓介さんに限って手荒なまねはしないはず。私が冷たい目で見られるのは仕方ないし、覚悟の上だが、関係ない流樹を守らなきゃ。

「彼は大人だから大丈夫。落ち着いて対応してくれるから」

 啓介さんが取り乱す姿なんて想像できないもの。

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