天才脳外科医はママになった政略妻に2度目の愛を誓う
「あ、瑠々?」

『莉子ごめん! 調査会社のやつら、訴える話をしたら手のひら返しだった』

 調査会社は、瑠々が問い詰めると白状したらしい。

 啓介さんと女性のほかにも同行する人がいたのは事実で、ホテルの部屋に入るときもホテルの従業員に案内されながら三人で入っていったという。

 啓介さんの言う通りだった。

 彼はあの女性たちと浮気なんてしていなかったのだ。

「それで、どうするの? 嘘は突き通すの?」

 流樹は心配そうに私を振り向く。

「うん。私の気持ちは変わらない」

 調査会社だけの責任じゃない。私も悪いのだ。

 写真に写る啓介さんは医療器具が入っているドクターバッグを手にしていた。私はバッグに気づいていても、診療のために部屋に入ったとは想像すらできなかった。

 私は彼を最初から疑っていたから。

 あれから三日が経つが、ずっと考えていた。

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