オオカミと父親 ひねくれた純愛(おまけの小話・その3)
「立てますか?
俺の首に手を回してください。
体を支えますから」
教授は無言で、俺の肩に手を置いた。

「それっ」
俺は、引っ張り上げるように、何とか立たせた。
「いた・・っ」

高いピンヒールで、足首をひねったのだろう。
片足首をやられて、
体重をかけると、痛いようだ。
唇をかんで、耐えている。

「歩ける・・大丈夫だ」
教授の発言を、俺は無視をした。

「さぁ、すぐに、帰りましょう。
車まで運びますよ。お姫様」
俺は、教授を抱き上げた。

車の中で、
教授はうつむいたままで、
無言だった。

俺も、後悔していた。
彼女に・・・
無理をさせた。
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