オオカミと父親 ひねくれた純愛(おまけの小話・その3)
これはまるで、そう、
シンデレラがガラスの靴を、
自分の足にあうかどうか、
吟味するシーンと同じだ。

俺は、王子になれるのだろうか。

「カーライル・・怒っているだろう・・」

教授がタオルの端を握りしめて、
ポツンと言った。
「エドナさんは許してくれるかな」

「何を、ですか?」
教授を見上げると、
手で、目をぬぐっている。

「ドレスもバックも、靴も汚してしまって・・
エドナさんに悪い事をした。
勝手に帰ろうとしたし・・」

ぐす・ぐす・・ヒック
子ウサギが、静かに泣き始めた。

「・・・全部、弁償するけど。
その前に、彼女に謝罪をしなくてはいけない」

俺は、湿布を貼る手を止めた。

子ウサギは、鼻をずるずるとすすって
「その、明日、朝の9時に面接があるんだ。
大学の講師の募集があって、
応募して・・

でも、もう、帰るにも、
列車も間に合わないし・・・
皆に迷惑をかけてしまった・・
カーライル・・君にも」
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