オオカミと父親 ひねくれた純愛(おまけの小話・その3)
「でも・・でも・・でも
明日の面接が・・間に合わない」

ああ・・そっちね・・・
子ウサギ教授の心配は。

俺はため息をついて、
子ウサギの頬を、両手で挟み込むように触れて、言った。

「親父のキャンピングカーを借ります。
これからすぐに出れば、
朝には間に合うでしょう。
アイリス、あなたもベッドで横になれば、足の負担も減るし。」

「間に合うのか?・・」
子ウサギは、幾分、安堵したような声を出した。

「ええ、間に合わせますよ。」
俺は自信ありげに、笑顔を見せた。
足の痛みが引くまでは、
ベッドでイチャイチャは無理だが。

しばらくは、
俺のオオカミモードは棚上げに
なるが、しかたがない。

今、彼女に必要なのは、恋人というより、父親、家族なのかもしれない。

「ほらっ、鼻をかんで」
俺は、ティッシュペーパーの箱を
差し出した。

ビィーーーー
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