オオカミと父親 ひねくれた純愛(おまけの小話・その3)
「もちろん、ベチャベチャ、
グチョグチョの大人のキスで・・」
教授の体が、こわばるのを感じた。

「あーーー、私は初心者なので、
あまり過激なのは・・・」

「はいはい、わかりました。
ちょいベチャでやりましょう」
俺の腕の中の教授は、
往生際が悪いのだ。

「深呼吸して・・
ちょっとお口を開けましょうね」
俺は笑いをこらえて、
歯医者のように言った。

教授が、俺の腕に手をかけた時、
「待った・・!
もし、息が苦しくなったら・・
どうすればいい?」

教授が、真剣なまなざしで
俺を見て、次の質問をした

「はぁ・・その時は
俺の肩を叩いてください。
すぐに止めますから」

これでは、
恋人の甘いキスではなく、歯医者と患者の会話ではないか。
まったく、笑える。

ほうっと、教授が息を吐いた。

いまだっ!
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