オオカミと父親 ひねくれた純愛(おまけの小話・その3)
エドナからだ。
しかたがない。

「ああ、ゴメン、事故渋滞で遅れてしまって。
うん、近くまで来ている、
あと20分くらいで着くから」

俺は教授を見た。
まだ、セミのように柱に抱きついている。

キスだけでも、これだけ手間暇がかかるが・・
反応がおもしろい。
それにカワイイ。

「教授、レッスンは残念ながら
終了です。すぐに出ないと」

俺は立ち上がり、
教授の造花のいっぱいついた
バックを肩にかけた。

それから、手を差し伸べた。
「車に戻りましょう」

教授は少し緊張が抜けたのか、
ほっとしたような顔をしていたが、指を唇に当てている。

「感想は・・どうですか?」
俺は、笑いをこらえて聞いた。

「・・・わからない・・」
教授は、心ここにあらずと、言ったように答えた。

俺は教授の手をつかんで、
引き寄せるようにしてから、
顔を覗き込んだ。

「また、やりますから・・
わかるまで、いや慣れるまで」
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