オオカミと父親 ひねくれた純愛(おまけの小話・その3)
教授は視線を合わさず、
しかし、少し悔しそうに
「そんなにやらなくてもいい」

俺は揚げ足を取った。
「わかりました。
次のステップにいきましょう。
ベッドでね。楽しみです」

「むむむむ・・そんな早くなくていい・・」
教授はうつむいて、ため息をついた。

この分野では、勝ち目がないと
判断したのだろう。

俺も考えた。
焦って、子ウサギが逃げたら
元も子もない。

「あなたに合わせますよ。
アイリス。」
俺は、大人の余裕を見せることにした。

「キスは、義務でも強制でもなく、二人で楽しむものですから」

握っていた教授の手に、少し力が入った。

「うん・」
そして、小さくうなずいた。

二人の距離が、
縮まったような気がした。
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