せんぱいのおまじない
☆小雪
高校二年生。
五月の昼休み。
頭が痛くて少し休もうと思い、保健室に来た。ドアを開けると先生がいなくて、この学校の有名人であり、イケメンな赤西先輩がいた。
地味な私とは正反対なタイプの先輩。
私が入学したての時、廊下を歩いていたら先輩と肩がぶつかった。先輩の見た目が不良っぽくて、怖くて……。謝ると私はすぐに逃げた。あれからすれ違うたびに睨まれている気がする。勘違いかもしれなくて、直接何かされたわけではないけれど。
彼の雰囲気と清楚なイメージの保健室は、どの角度から見ても不釣り合い。
「どうしたの?」
彼が質問をしてきた。
「頭が痛くて、少し休んでいこうかと」
「大丈夫?」
「あ、はい……」
会話は成立しているけれども、怖くて私の心は震え、今すぐここから逃げ出したい気持ちだった。
その時だった。
「なおれー、なおれー……」
そう言いながら彼は、私の頭をぽんぽんしてきた。
えっ? 何? いきなり。しかもとびきりの優しい表情。私の胸の鼓動が早くなった。
彼と目があい、ドキッとした。
目をそらし、うつむいた。
なんだろう、この感覚。
昔、同じ事をされた記憶が――。
五月の昼休み。
頭が痛くて少し休もうと思い、保健室に来た。ドアを開けると先生がいなくて、この学校の有名人であり、イケメンな赤西先輩がいた。
地味な私とは正反対なタイプの先輩。
私が入学したての時、廊下を歩いていたら先輩と肩がぶつかった。先輩の見た目が不良っぽくて、怖くて……。謝ると私はすぐに逃げた。あれからすれ違うたびに睨まれている気がする。勘違いかもしれなくて、直接何かされたわけではないけれど。
彼の雰囲気と清楚なイメージの保健室は、どの角度から見ても不釣り合い。
「どうしたの?」
彼が質問をしてきた。
「頭が痛くて、少し休んでいこうかと」
「大丈夫?」
「あ、はい……」
会話は成立しているけれども、怖くて私の心は震え、今すぐここから逃げ出したい気持ちだった。
その時だった。
「なおれー、なおれー……」
そう言いながら彼は、私の頭をぽんぽんしてきた。
えっ? 何? いきなり。しかもとびきりの優しい表情。私の胸の鼓動が早くなった。
彼と目があい、ドキッとした。
目をそらし、うつむいた。
なんだろう、この感覚。
昔、同じ事をされた記憶が――。