せんぱいのおまじない
★赤西先輩のキモチ
俺は、暇さえあれば保健室に来て、先生が手当てをしているところを観察したり、時には手伝ったりしていた。
先生が保健室にいない時には、俺が怪我した生徒を手当てしたりする事もあった。
怪我の手当てをしたり看病する事が好きで、将来はそういう仕事をしたいと思っている。
周りから見た俺の見た目や言動は怖いらしく、ありえないとか思われそうだけど。
「すぐ戻るけど、まだ保健室にいるよね?」
「はい、います」
昼休み、保健室から先生がいなくなり、俺はひとりになった。ここの白い雰囲気も好きで、この空間が落ち着く。
ぼんやりしていると、ひとりの女の子が入ってきた。
ーーあ、あの子だ。
学年がひとつ下の女の子。去年の春、俺がまだ高校二年生になったばかりの頃だった。廊下ですれ違う時、彼女の肩に俺の肩がぶつかってしまった。
「ご、ごめんなさい……」
彼女はすごく怯えた顔をして謝ってきた。ぶつかってしまった時、どちらかといえば、よそ見をしながら歩いていた俺の方が悪いのに。
俺も謝ろうとした時には、すでに目の前に彼女はいなかった。結局謝りそびれた。あの時の怯えた顔が頭に残っている。それに、なんか小さい頃、接したことある気がするんだよなぁ。そんなことを、すれ違うたびに毎回考えながら、彼女を目で追っていた。
保健室に入ってきた彼女は青白い顔をしていて辛そうだった。
「どうしたの?」
「頭が痛くて、少し休んでいこうかと」
「大丈夫?」
「あ、はい……」
大丈夫そうじゃなく見える。しかも、俺の事を怖がっている。俺、ここから出ていった方が良いのかなぁ? でも心配だし。
とりあえず、彼女の頭をぽんぽんしながら「なおれー、なおれー……」と、おまじないをかけた。これは、身体の弱い妹が小さい頃に体調をくずした時、毎回やっていたこと。
こうすることによって、悪い気が自分のところにきて、妹が早く治ってくれる。そんな気がしていた。
こんな事、友達の前でとか絶対にやらないな……。いつもと違う!ってなって心配されそうだ。
彼女は、はっとした顔をして、一瞬目を合わせた後、顔を赤らめてうつむいた。
先生が保健室にいない時には、俺が怪我した生徒を手当てしたりする事もあった。
怪我の手当てをしたり看病する事が好きで、将来はそういう仕事をしたいと思っている。
周りから見た俺の見た目や言動は怖いらしく、ありえないとか思われそうだけど。
「すぐ戻るけど、まだ保健室にいるよね?」
「はい、います」
昼休み、保健室から先生がいなくなり、俺はひとりになった。ここの白い雰囲気も好きで、この空間が落ち着く。
ぼんやりしていると、ひとりの女の子が入ってきた。
ーーあ、あの子だ。
学年がひとつ下の女の子。去年の春、俺がまだ高校二年生になったばかりの頃だった。廊下ですれ違う時、彼女の肩に俺の肩がぶつかってしまった。
「ご、ごめんなさい……」
彼女はすごく怯えた顔をして謝ってきた。ぶつかってしまった時、どちらかといえば、よそ見をしながら歩いていた俺の方が悪いのに。
俺も謝ろうとした時には、すでに目の前に彼女はいなかった。結局謝りそびれた。あの時の怯えた顔が頭に残っている。それに、なんか小さい頃、接したことある気がするんだよなぁ。そんなことを、すれ違うたびに毎回考えながら、彼女を目で追っていた。
保健室に入ってきた彼女は青白い顔をしていて辛そうだった。
「どうしたの?」
「頭が痛くて、少し休んでいこうかと」
「大丈夫?」
「あ、はい……」
大丈夫そうじゃなく見える。しかも、俺の事を怖がっている。俺、ここから出ていった方が良いのかなぁ? でも心配だし。
とりあえず、彼女の頭をぽんぽんしながら「なおれー、なおれー……」と、おまじないをかけた。これは、身体の弱い妹が小さい頃に体調をくずした時、毎回やっていたこと。
こうすることによって、悪い気が自分のところにきて、妹が早く治ってくれる。そんな気がしていた。
こんな事、友達の前でとか絶対にやらないな……。いつもと違う!ってなって心配されそうだ。
彼女は、はっとした顔をして、一瞬目を合わせた後、顔を赤らめてうつむいた。