せんぱいのおまじない
 私はいつの間にか、眠っていた。
 
 目が覚めると、十四時になっていた。
 ここに来たのは十二時半くらい。

 一時間以上寝ちゃった。

 カーテンを開けると先生だけがいた。

「あ、宇野さんおはよう。頭痛いの大丈夫?」

「はい、大丈夫です」

「眠れなくて最近頭が痛くなっちゃうんだってね。赤西くんが言ってたよ」

「はい。そうなんです」

「これ、赤西くんから。宇野さんに渡してほしいって」

 小瓶が透明な袋に入っていて、メモが袋に貼ってあった。

『いっぱい眠れるようになりますように』って。赤西先輩の文字は想像していたのとは真逆で、丸くて可愛い文字だった。

 私はぎゅっとそれを抱きしめた。

 保健室から出ようとした時、忘れ物を思い出した。

 先輩が貸してくれたハンカチ。
 返さないと!

 お礼も言いたかったし、ハンカチも返す。先輩と関われるキッカケが出来て、気持ちがソワソワした。

 
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