妖の街で出会ったのは狐の少年でした

17話 試験

求婚騒ぎも終わり、しばらく平和な日々が続き季節はあっという間に12月。
学校で、ヨナガ先生が
「今学期も残りあと少しです。そして毎年恒例の期末試験があります。皆さんしっかり勉強してくださいね。」
あるかもしれないと覚悟していたがやはりあるのか、定期試験。
しばらくナグモさんにお休みをもらって勉強しないとな。
「カズハ、試験大丈夫なのか?」
「最近忙しくてほとんど勉強できてないよ」
「たしかに学校以外は仲居してるしな」
「ジュンはどんな感じなの?」
「オ、オレはその・・・」
「下から数えた方が早い順位ですよ」
「そうなの?」
「おい、ロク勝手に・・・」
「ちゃんと復習をしていれば最低でも60点は取れるはずですよ。」
「ロクってたまにグサッと来ることを言うよな」
「ナグモ様にはさっき連絡したので気にせず勉強できますよ。」
「ありがとう、ロク」
「授業が終わったら勉強会しましょう。3人で」
「オレを無視して、話を進めるな、そして巻き込むな。勉強会するけども。」 
そして授業が終わり教室に居残りで勉強会。
「ちなみに試験はひとりひとり問題が違うんです、」
「そうなの?」
(年齢ごとになら分かるが、ひとりひとり違うのか。)
教室は一緒だが、年齢ごとに教材が違う。一時限の時間内に、指示された範囲を終わらせる。分からないところは先生に質問する。自主学習のようなものだ。
「人それぞれ得手不得手はあります。
ヨナガ先生は生徒ひとりひとりの得手不得手を把握して、試験用紙を作っているんです。」
「でも、どうやって把握しているの?」
「ナグモ先生は千里眼の力があるからな。それにオレ達が質問する問題で系統を把握して、それを元に試験用紙を作ってるんだと思う。」
問題を解きながらジュンが答える。
器用なんだな。私はできない。
「たまに凄く凝った問題がでるのですが、それはやめてほしいんですけどね。
ジュン、そこ違います、」
「あれ?」
訂正、ロクも器用だった。
私ができないだけか?
「カズハ様はまず基礎の復習をしましょう。」
「お願いします」
ロクの教え方は凄く丁寧でわかりやすかった
「ロク~、助けてくれ、分からねぇ」
「どこですか?あぁ、これは応用でこの公式を・・・.」
ここに来る前のロクの様子を私は知らない。でもヨナガ先生、ツキナ校長先生によると、あまり人と関わらず、いつも1人だったらしい。ロクと出会って成長できた気がしたが、私だけじゃなかったのが何故か嬉しい。
「・・・様、カズハ様!聞いてます?」
「あ、ごめん、聞いてなかった・・・」
「じゃあ、もう一度説明しますねこれが・・・」
3人で勉強会を繰り返し、いよいよ試験当日。結果は・・・
カズハ80 ロク95 ジュン70
「60点以上とったの初めて」
「よく頑張りましたね。みなさん。校長先生がご褒美に飴をくれました。」
ヨナガ先生が指を鳴らすと、飴がみんなのところに移動していく。私は赤い飴だった。
こうして慌ただしい期末試験は終わった。


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