妖の街で出会ったのは狐の少年でした

18話 冬休み

「試験お疲れ様。カズハ」
「ありがとうございます。ナグモさん」 
「休んだ分、しっかり働いてもらうよ」
「はい!」
そこからしばらくは休む暇などないくらい忙しかった。
「ねぇ今晩アタシの部屋にきて。
305号室」
「え?」
それだけ言うとミズキさんは走って行ってしまった。私も接客があったので、急いでお客様をもてなす。やっと深夜の方と交代になったので部屋に戻り、シャワーを浴びて、ロクが持ってきてくれた夕食を食べ、下げてもらい、戻ってきてから聞く。
「ねぇロク。305号室ってどこにあるかわかる?ミズキさんに招待されているんだけど。」
「それなら・・・」

「ミズキさん、カズハです」
ノックすると扉が開く。
「入って」
「失礼します」
「呼び出してごめんね」
「いえ、大丈夫です」
私の部屋と同じ感じの和室だった。
「単刀直入に言うけどそろそろ冬休みの時期だと思うんだ。」
「そう、ですね。」
昨日、先生から来週から冬休みだと言われた。もちろん宿題も出る。ほとんど仕事でてんてこまいなので不安だ。
「遊びに行かない?」
「遊びに、ですか?でも仕事が。これから忙しくなる時期ですし。」
「だからだよ。うちの宿屋はお正月が一番忙しいの。お正月の前に1日だけ女子旅とか。幸い、従業員が多いからな、1日くらい大丈夫だろ、多分」
「でも、私試験期間全て休みを頂いてしまったので。」
「それは遊びに行っていたわけじゃないだろ?」
「それは、そうですけど」
「な。センパイの我儘を聞くんだと思って」
「は、はい。わかりました。」
ごり押しされて承諾してしまったが
大丈夫だろうか?
「明日、学校行く前に一緒にナグモさんに許可もらい行くから早めに起きろよ。カズハの部屋って何号室だ?」
「208号室です」
「わかった。」
ミズキさんの部屋を出て自分の部屋に戻る。布団に入り寝る。

「カズハ、カズハ」
ミズキさんの声に飛び起き急いで着替える。
「すみません。待たせてしまって」
「いや、全然」
ナグモさんのところに行き許可をもらう。あっさり二つ返事で貰えたので、正直驚いている。
部屋に戻り布団をきれいにしていると、
ロクが、朝食を持って入ってきた。
朝食をいただき、登校する。
この世界の勉強にも慣れ、だんだん常識がわかってきた。
ジュンは何故か日に日に怯えるようになっていた。理由を聞いても大丈夫と言うだけで、凄く心配したが、のちに理由がわかる。
終業日に、通信簿を貰い、勉強面に関しては普通だった。なるほど、ジュンは通信簿に怯えていたのか。ジュンは青い顔をしていた。そっとしておこう。
「ロクはどうだった?」
「まぁまぁです。」
今学期、終了。
帰ってからすぐに、仕事を始める。
次の日から、朝から、夜まで働き、足が痛い。
そして迎えた、女子旅当日
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