妖の街で出会ったのは狐の少年でした

34話 うぬぼれ

オレたちはボーリングをしに移動していると何故か視線を感じた。
隣にいたカズハに
「なぁ、なんか見られてねぇか。
オレら」
「なんだろうね。
隣町から来たから珍しいとか?」
「でも他の場所から来てる奴らもいるかもしれねぇだろ?」
「もしかして、狐の宿屋の仲居が居るから?有名になっちゃった?」
「カズハ・・・」
少し引いてしまった
「本気で言ってんのか?」
「ごめん、冗談だよ、冗談。」
オレはため息をつき、周りを見る。
何か言っているような動作だが、
なにを言っているのかはわからない。

「人間と鬼の子だって、いうじゃないか。」
「汚らわしい」
「しかも隣は、人間から妖になった奴っていうじゃねえか」
「恐ろしい」
「親の顔がみてみてぇよ」
「きっと妖にした奴もろくな奴
じゃねぇよ」
「前にいる奴らもおとなしそうな顔してるが。あんな奴らと関わってるんだ。
ろくな奴じゃねぇよ」
カズハ様とジュンは周りの様子に気付いているようだが、何を言っているのかは聞こえないらしい。
俺は狐、ナツキは鬼の血を受け継いでいる。普通の妖より聴力が高い。
きっとナツキも聞こえているのだろう。
表情が暗い。書店から出てきた時も
暗かったがこれが原因か。
俺も同じく暗いのか。隣町だから覚悟してたはずなんだけどな。
「ナツキ」
「ロク」
カズハ様はナツキの手を、ジュンはオレの手を引き駆け出す。
「しけた面してんじゃねえよ」
「せっかくきたんだもん。
楽しまないと」
俺たちは、ボーリングの休憩室で
一旦休憩する。
「ロクわりぃ。いきなり走り出したけど手、痛く ねぇか?」
「大丈夫です。ありがとうございました、」
「ありがとう。カズハ
助かった。」
「いいよ、いいよ。きにしないで。
早くボーリングやろう」
俺たちは移動してとりあえず1人2ゲームやることにした。
「重っ!」
「これを片手で投げるのってきついね」
ジュンとナツキが先に投げるがボールが
重いらしい。
「カズハ様はやったことありますか?」
「いや、初めて」
4人みんな初心者らしい。
「よっ、と」 
「それっ」
ジュンとナツキはどちらも7点で
俺は8本ピンを倒し、カズハ様は全て
倒していた。
(ストライクというらしい)
「カズハ様、ほんとに初心者ですか?」
「ほんとだよ」
コツを掴んだのか2ゲームでジュンは
7回、ナツキは5回、カズハ様は11回
俺は8回ストライクを決める事ができた
「はぁー、楽しかった」
「そうですね」

電車に揺られ、街につく。
「じゃあまた明日」
「今日はありがとう。」
解散してナツキと帰る。
「ありがとうね、ジュン。
今日きてくれて。
ここまでで大丈夫だよ。」
「いや、送ってくよ。もう薄暗いし」
「ありがとう」
特に会話もなく、
「私の家ここ」
ナツキの家に着いた。
アパート暮らしらしい
「そっか、じゃーな、」
「うん、またね」
ジュンは振り向いて悪戯っぽい笑みを 浮かべ言った。

「おかえり、ナツキ」
「ただいま、母さん」
「どうしたの?顔、赤いけど、」
「え、あー少し冷えたのかな?
大丈夫だよ。部屋戻るね」 
部屋のベットに顔を埋める、
「ジュンのバーカ」

"楽しかったな、で、え、と"





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