妖の街で出会ったのは狐の少年でした

40話 偶然

この世界に来て半年が経とうとしていた。
向こうでは学年が上がり中3になるがここは学年というものはあるのだろうか?
ナツキとはたまに文通のやりとり
をしている。
手紙を書き、相手の名前を書いておけば
住所がわからなくても届けてくれるらしい、ロクいわく気がついから手紙がなくなっていていつの間にか返事の手紙が置いてあり、不思議な配達人で顔も見た
ことないらしい。
ナツキからの手紙ではとある山奥の洞窟で生活しているらしい。お母さんが妖術で小鬼を作り出し、孤独な子供を小鬼が洞窟まで連れてきてくれる
らしい。もちろん無理強いはせず、
あくまで本人の意思で。
今は3人の子達と共に暮らしている
ようだ。
とりあえず元気そうでよかった。
後日、学校でこのことをジュン話すと
「そっか、オレのところにもきたよ、
手紙、元気そうでよかったよ」 
「俺のところにもきましたよ」
「え、私、聞いてないっ」
「今、言いましたからね」
「なんて書いてあったの?」
「大体カズハ様のと同じですよ」
大体?

カズハ様と同じような文面で手紙が届いた。
ただ最後の方はちょっと違う。
最後の方に書かれた文字、それは
ロクはカズハのこと好きじゃないの?
ロクってカズハことたまに優しい顔で
見ていること自分で気づいてる?
ロクとカズハはお似合いだと思うけどな
俺はため息をつく。
恋とか愛だとか面倒で煩わしいって
思ってる。主の願いを叶えるのも仕事だ
水族館も山姫から守ったのも
全部、仕事の延長。
でもマフラーをもらって嬉しかったのは事実。俺はカズハ様をどう
思ってるんだろう。
自分のことなのに答えがわからない。

「どんな内容だったの」
私がそう聞くと悲しそうな顔で
「秘密です」
と答えた。
学校帰りに何も会話せず宿に戻り
仕事を始める。
そういえば私たちが仕事をしている間
使いって何をしているんだろう。
後で、ロクに聞いてみよう。
「カズハ、今、手空いてる?」
すれ違いにミズキさんに聞かれる
「え、はい。」
「すぐに終わる仕事だから、
頼まれてくれない?」
「いいですよ」
「これ、ナグモさんの部屋に持って
いってくれない?忘れ物だと思うんだけど、今手が空いてなくて」
それは手帳のようなものだった
「わかりました。」
ミズキさんにナグモさんの部屋の番号を聞き、ナグモさんの部屋に入る。
私の部屋より殺風景だった。
机に手帳を置いて部屋を出ようとすると
床に積んであった書物を倒してしまった。
片付けていると古くボロボロの書物で
見出しに手が止まった。
"禁術"
いけないことだ分かっていても
ページをめくってしまう。

人間をこの街に連れて来る方法

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