妖の街で出会ったのは狐の少年でした
42話 昔話
「ごめんなさい、やっと終わって・・・
どうしたの、カズハ?」
「いえ、なんでもないです」
私の顔は多分真っ赤になっているだろう
「ロク、何か知ってる?」
「いえ、なにも」
本当にロクはわかっていないよう。天然か?
「そっか。じゃあ話すね」
昔、この街に来る前の話だ。
「ナグモの夢ってなに?」
「私は色々な世界を見たいな。
現地でしか見ることができない建造物。
現地でしか食べることができない甘味。
そう言うのを記事にしてみたいな。」
私には親友がいた。鴉天狗の妖で名はルイ
正義感が強く、友達も多い方。成績は・・・うん。いい方ではなかったかな。
私たちはいつも一緒に行動していた。
怪我をした人がいれば病院まで連れて行ったり、迷子がいればすぐに駆け寄り一緒に親を探してあげるような子だった。そんな性格
だから老若男女、誰からも慕われていた。
でも自分の弱いところは決して見せなかった
人間の世界に行ける妖は限られている。
ルイもそのひとり。私はルイの他に人間の世界に行ける妖を知らない。
ルイは帰って来る時はお土産を必ず持ってきてくれた。行き来が20回に達した頃、ルイがポツリと呟いた。
「結婚したい人がいるんだ」
お土産にもらった琥珀糖を移動させ注文した
紅茶を飲もうとした時そう聞こえた。紅茶がこぼれてどんどん着物にシミができるが気づかないくらい私の頭は真っ白になった。
「え、結婚?」
「うん、結婚」
「・・・誰と?妖?それとも・・・」
「人間。リクヤっていうの」
そう言うルイは愛しそうな目をしていた。
でも
「ルイがその方を好いているのはわかった。でも、どうするの?妖と人間は生きる時間が違いすぎる。あなたは彼が居なくなって孤独に生きることになる。周りから好奇の目で見られるんだよ。」
「なにも不老不死になるわけじゃない。
妖だろうと歳を取り、やがてこの命は尽きる。少し、年齢より若く見られるだけよ。」
「・・・おじさんたちにはもう言ったの?」
「まだ。これから言いに行くよ。
ねぇ、一緒に来てくれる?」
「え・・・」
ルイのカップに添えている手が震えている。
「わかった」
ルイの家は大きい。
花道の家元出身と聞いたその日に
遊びに行ったが想像以上だったのを覚えている。
「おかえり、ルイ。ナグモちゃん
いらっしゃい」
「こんにちは、おじさん。おじゃまします」
おじさんは感情の起伏が激しくなく、
滅多に怒らない。でも顔が怖いので誘っても
遊びに来たがらない子がほとんど
とルイは言っていた。
「今日は、どうしたの?」
「あ、ちょっとね・・・」
部屋に通され、おばさんが紅茶とお茶菓子を持ってきてくれた。
「ありがとうございます」
おばさんが部屋を出ようとすると
「母さん、母さんにも聞いて欲しいこと
なの」
おばさんはおじさんの隣に座り
「お父さん、お母さん、私結婚したい人が
いるんです。」
おじさんたちは目を丸くした
おじさんはゆっくり息を吐きおばさんは
目を伏せた
「ルイもそんな歳になったか。
相手の方は?」
「相手はリクヤといいます。
とても優しく聡明な方です。」
ルイは一息つき
「彼は人間です」
ルイがそういうと空気が重くなった気がした
どうしたの、カズハ?」
「いえ、なんでもないです」
私の顔は多分真っ赤になっているだろう
「ロク、何か知ってる?」
「いえ、なにも」
本当にロクはわかっていないよう。天然か?
「そっか。じゃあ話すね」
昔、この街に来る前の話だ。
「ナグモの夢ってなに?」
「私は色々な世界を見たいな。
現地でしか見ることができない建造物。
現地でしか食べることができない甘味。
そう言うのを記事にしてみたいな。」
私には親友がいた。鴉天狗の妖で名はルイ
正義感が強く、友達も多い方。成績は・・・うん。いい方ではなかったかな。
私たちはいつも一緒に行動していた。
怪我をした人がいれば病院まで連れて行ったり、迷子がいればすぐに駆け寄り一緒に親を探してあげるような子だった。そんな性格
だから老若男女、誰からも慕われていた。
でも自分の弱いところは決して見せなかった
人間の世界に行ける妖は限られている。
ルイもそのひとり。私はルイの他に人間の世界に行ける妖を知らない。
ルイは帰って来る時はお土産を必ず持ってきてくれた。行き来が20回に達した頃、ルイがポツリと呟いた。
「結婚したい人がいるんだ」
お土産にもらった琥珀糖を移動させ注文した
紅茶を飲もうとした時そう聞こえた。紅茶がこぼれてどんどん着物にシミができるが気づかないくらい私の頭は真っ白になった。
「え、結婚?」
「うん、結婚」
「・・・誰と?妖?それとも・・・」
「人間。リクヤっていうの」
そう言うルイは愛しそうな目をしていた。
でも
「ルイがその方を好いているのはわかった。でも、どうするの?妖と人間は生きる時間が違いすぎる。あなたは彼が居なくなって孤独に生きることになる。周りから好奇の目で見られるんだよ。」
「なにも不老不死になるわけじゃない。
妖だろうと歳を取り、やがてこの命は尽きる。少し、年齢より若く見られるだけよ。」
「・・・おじさんたちにはもう言ったの?」
「まだ。これから言いに行くよ。
ねぇ、一緒に来てくれる?」
「え・・・」
ルイのカップに添えている手が震えている。
「わかった」
ルイの家は大きい。
花道の家元出身と聞いたその日に
遊びに行ったが想像以上だったのを覚えている。
「おかえり、ルイ。ナグモちゃん
いらっしゃい」
「こんにちは、おじさん。おじゃまします」
おじさんは感情の起伏が激しくなく、
滅多に怒らない。でも顔が怖いので誘っても
遊びに来たがらない子がほとんど
とルイは言っていた。
「今日は、どうしたの?」
「あ、ちょっとね・・・」
部屋に通され、おばさんが紅茶とお茶菓子を持ってきてくれた。
「ありがとうございます」
おばさんが部屋を出ようとすると
「母さん、母さんにも聞いて欲しいこと
なの」
おばさんはおじさんの隣に座り
「お父さん、お母さん、私結婚したい人が
いるんです。」
おじさんたちは目を丸くした
おじさんはゆっくり息を吐きおばさんは
目を伏せた
「ルイもそんな歳になったか。
相手の方は?」
「相手はリクヤといいます。
とても優しく聡明な方です。」
ルイは一息つき
「彼は人間です」
ルイがそういうと空気が重くなった気がした