妖の街で出会ったのは狐の少年でした
47話 混乱
ナグモさんから全てを聞いた私はひどく混乱していた。私がすんなりとここに来れたのは
ナグモさんとルイさんという方の企てだった
しかもルイさんは私の祖先。初めて聞いた時は御伽噺かなんかかと思った。でも実際に来ることができている。私がここに来たいと思った理由は向こうから逃げたかったから。
逃げたいだけのためにナグモさんは罪を犯してしまった。
「ごめんなさい、ナグモさん。私がこの世界に来たいと願わなければナグモさんが罪を犯すことはなかったですよね。夢を諦めるようにしたのは全部私なんですね。」
ナグモさんは苦笑しながら答えた
「話、ちゃんと聞いてた?私は自分の意思でやったんだ。罪を犯すことになっても、夢をあきらめないといけないことをしたのも
全部ルイとの約束を守るため。カズハが気に病むことはないんだ。ロクもだ。私のことは気にしないでのびのび生きてくれ。」
「ナグモ様・・・」
しばらくの沈黙が続く。
「そろそろ夜も更けてきたから2人とも
戻ってくれて構わないよ。昔話に付き合ってくれてありがとうね」
「あ、はい。失礼します。」
ロクが立ち止まったままだったのか気がかりだったが私は部屋に戻った。
「ナグモ様」
「なに?」
「先程の話を聞いていると、カズハ様は
かつてこの国を統べた3人のうちの1人の末裔だと見受けられます。」
探るようにロクは話し
「うん、そうだね」
「人間とはいえ統べた妖の血を引いたもの
には変わりありません。このまま何事もなく穏便に終わるとは到底思えませんが。」
確信をついてきた。
大妖怪とも言える三人集。
ルイが出て行って数十年後に現れた
カズハ。末裔だと知っているのはごく
わずかだろう。しかし裏社会では、とある噂が流れ始めている
「末裔の娘を嫁にすることができれば最高の
地位と名誉が手に入る」
「はい?」
「裏社会で流れている噂。噂以前に
一度嫁がせることができれば、あとは好きにできる。奴隷のように扱っても周りは口を出すことができないんだ」
「だから守れ、ですか」
「うん。彼女が幸せを感じることができなかったら私はルイに合わせる顔がないからね」
「あの質問なんですけど、どうして裏社会のことを知っているんですか?」
ロクは控えめに聞いてきた。
「ここの前経営者から手紙で知ったんだ。
あの人は特に深いことは考えずに
書いたんだろうけどね」
私は一拍置いて聞く。
「あのさ、ロク」
「なんでしょうか」
「ロクはカズハのこと好きなの?」
「好き、ですよ。尊敬しています」
「それは主として?
1人の女性としては、どう思うの?」
「正直に言って恋とか愛とか私はまだわかりません。ですが、カズハ様といると安心する自分がいるんです。」
「そっか」
恋愛感情かはともかく良好な関係なのは
いいことかな。
「他に何か聞きたいことある?」
「いえ、大丈夫です。ありがとう
ございました。」
「おやすみなさい。ロク」
「おやすみなさい、ナグモ様。
失礼します」
ロクが戻ったことを確認すると電気を消し
布団に倒れ込む。
ルイ、私は貴方が望んだとおりできているだろうか
ナグモさんとルイさんという方の企てだった
しかもルイさんは私の祖先。初めて聞いた時は御伽噺かなんかかと思った。でも実際に来ることができている。私がここに来たいと思った理由は向こうから逃げたかったから。
逃げたいだけのためにナグモさんは罪を犯してしまった。
「ごめんなさい、ナグモさん。私がこの世界に来たいと願わなければナグモさんが罪を犯すことはなかったですよね。夢を諦めるようにしたのは全部私なんですね。」
ナグモさんは苦笑しながら答えた
「話、ちゃんと聞いてた?私は自分の意思でやったんだ。罪を犯すことになっても、夢をあきらめないといけないことをしたのも
全部ルイとの約束を守るため。カズハが気に病むことはないんだ。ロクもだ。私のことは気にしないでのびのび生きてくれ。」
「ナグモ様・・・」
しばらくの沈黙が続く。
「そろそろ夜も更けてきたから2人とも
戻ってくれて構わないよ。昔話に付き合ってくれてありがとうね」
「あ、はい。失礼します。」
ロクが立ち止まったままだったのか気がかりだったが私は部屋に戻った。
「ナグモ様」
「なに?」
「先程の話を聞いていると、カズハ様は
かつてこの国を統べた3人のうちの1人の末裔だと見受けられます。」
探るようにロクは話し
「うん、そうだね」
「人間とはいえ統べた妖の血を引いたもの
には変わりありません。このまま何事もなく穏便に終わるとは到底思えませんが。」
確信をついてきた。
大妖怪とも言える三人集。
ルイが出て行って数十年後に現れた
カズハ。末裔だと知っているのはごく
わずかだろう。しかし裏社会では、とある噂が流れ始めている
「末裔の娘を嫁にすることができれば最高の
地位と名誉が手に入る」
「はい?」
「裏社会で流れている噂。噂以前に
一度嫁がせることができれば、あとは好きにできる。奴隷のように扱っても周りは口を出すことができないんだ」
「だから守れ、ですか」
「うん。彼女が幸せを感じることができなかったら私はルイに合わせる顔がないからね」
「あの質問なんですけど、どうして裏社会のことを知っているんですか?」
ロクは控えめに聞いてきた。
「ここの前経営者から手紙で知ったんだ。
あの人は特に深いことは考えずに
書いたんだろうけどね」
私は一拍置いて聞く。
「あのさ、ロク」
「なんでしょうか」
「ロクはカズハのこと好きなの?」
「好き、ですよ。尊敬しています」
「それは主として?
1人の女性としては、どう思うの?」
「正直に言って恋とか愛とか私はまだわかりません。ですが、カズハ様といると安心する自分がいるんです。」
「そっか」
恋愛感情かはともかく良好な関係なのは
いいことかな。
「他に何か聞きたいことある?」
「いえ、大丈夫です。ありがとう
ございました。」
「おやすみなさい。ロク」
「おやすみなさい、ナグモ様。
失礼します」
ロクが戻ったことを確認すると電気を消し
布団に倒れ込む。
ルイ、私は貴方が望んだとおりできているだろうか