妖の街で出会ったのは狐の少年でした
51話 雨音
暖かくなったと思ったらすぐに梅雨の時期になり冷える日が続いていたある日、仕事が休みで部屋で
のんびりしている今日このごろ。
少し前誕生日で浮かれている校長先生を思い出す。
大人になっても浮かれる人っているんだなと思う 反面、疑問が浮かんだ。いやずっと浮かんでいたが背いていた。
「私の誕生日っていつだっけ・・・」
こぼれた一言は土砂降りの雨の音にかき消された。
3年前に叔母に引き取られたが叔母が病死し、
去年の夏に親戚に引き取られた。
近くに住んでいたので学校が変わることはなかった
叔母は多忙な人だったが宿題をみてもらったり、
休日は一緒にお菓子を作ったりもした。
でも、運動会、卒業式、中学の入学式など学校行事に来ることはなかった。でも元々友達は
多かった方だったから寂しいとかはなかった。
その年は確か、バースデーカードが1枚テーブルの上に置いてあるだけだった。
翌年からカードすらなくなっていた、
両親が生きていた時はすごく祝ってくれていた、
気がする。
でもどんな料理で、どんなケーキで、どんな言葉で
祝ってくれたのか思い出せない。
「2回だけなのに」
でもそのたった2回分空白が空いただけで忘れて
しまう誕生日なんて特別でもなんでもないのかもしれない。
カズハ様の誕生日っていつなんだろう。
俺の誕生日はナグモ様と出会った日。
名前すら忘れた俺だ。誕生日だって自分で決めて
いいと思うんだ。
今度聞いてみよう。
それから数日後、今日はスイウが誕生日らしい。
「誕生日おめでとう。スイウ」
「ありがとう、カズハおねーちゃん」
笑みを浮かべ祝うカズハ様の顔に影を感じるのは 気のせいだろうか。
学校が終わり帰宅途中に雨が降り出した。
俺は近くのカフェで雨宿りをした途端土砂降りに
なった。
「ついてないな」
俺が出てくる時カズハ様はまだ教室にいた。
教室で雨宿りしているのだろうか。
今日はカズハ様が非番なので焦ることはないが。
バシャバシャと誰かが走ってくる音が聞こえる。
音のする方を眺めていると
「なにやってるんですか!?ジュン」
ずぶ濡れになって一瞬誰だかわからなかった。
「強い雨じゃねぇから走って帰れっかなて思ったら無理だった」
俺の隣に来て頭を振る。
「飛ばさないでくださいよ」
「あ、悪りぃ。」
「タオル使います?未使用なのありますけど。」
「あー、ありがと。借りるわ」
タオルを渡すと髪を荒くふき始めた。
「こりゃしばらくやまねぇな」
「そうですね」
「カズハはもう少し様子見って言ってたからまだ
学校にいると思うぞ」
「そうですか」
「スイウ、今日誕生日だったよな」
「ええ」
「カズハ、誕生日いつか知ってるか?」
「いいえ。」
短い受け答えが続く
「聞かないのか?」
「聞かれない限りこちらからは聞きませんよ」
「それがわかってるから聞かないのかもな」
ボソッと呟いた
「え?」
「こっちから聞いたら必ずと言っていいほど聞いてくる。それを避けたいから聞かないのかもな」
「聞かれたくない?」
「単純に祝われたくないのかもな」
そこから沈黙が続く。
しばらくすると小雨になった。
「もう少ししたらやむかもな」
雨が止み、雲の切れ間から日の光が差し始めた。
「じゃあ、オレ帰るよ。タオル洗って返す、」
「わかりました」
数歩、歩いて止まった。
「どうしました?」
「柄にもなくお節介なこと言うけど」
向こうを向いたまま言ってきた
「自分から動かねえとなにも変わらねえぞ」
のんびりしている今日このごろ。
少し前誕生日で浮かれている校長先生を思い出す。
大人になっても浮かれる人っているんだなと思う 反面、疑問が浮かんだ。いやずっと浮かんでいたが背いていた。
「私の誕生日っていつだっけ・・・」
こぼれた一言は土砂降りの雨の音にかき消された。
3年前に叔母に引き取られたが叔母が病死し、
去年の夏に親戚に引き取られた。
近くに住んでいたので学校が変わることはなかった
叔母は多忙な人だったが宿題をみてもらったり、
休日は一緒にお菓子を作ったりもした。
でも、運動会、卒業式、中学の入学式など学校行事に来ることはなかった。でも元々友達は
多かった方だったから寂しいとかはなかった。
その年は確か、バースデーカードが1枚テーブルの上に置いてあるだけだった。
翌年からカードすらなくなっていた、
両親が生きていた時はすごく祝ってくれていた、
気がする。
でもどんな料理で、どんなケーキで、どんな言葉で
祝ってくれたのか思い出せない。
「2回だけなのに」
でもそのたった2回分空白が空いただけで忘れて
しまう誕生日なんて特別でもなんでもないのかもしれない。
カズハ様の誕生日っていつなんだろう。
俺の誕生日はナグモ様と出会った日。
名前すら忘れた俺だ。誕生日だって自分で決めて
いいと思うんだ。
今度聞いてみよう。
それから数日後、今日はスイウが誕生日らしい。
「誕生日おめでとう。スイウ」
「ありがとう、カズハおねーちゃん」
笑みを浮かべ祝うカズハ様の顔に影を感じるのは 気のせいだろうか。
学校が終わり帰宅途中に雨が降り出した。
俺は近くのカフェで雨宿りをした途端土砂降りに
なった。
「ついてないな」
俺が出てくる時カズハ様はまだ教室にいた。
教室で雨宿りしているのだろうか。
今日はカズハ様が非番なので焦ることはないが。
バシャバシャと誰かが走ってくる音が聞こえる。
音のする方を眺めていると
「なにやってるんですか!?ジュン」
ずぶ濡れになって一瞬誰だかわからなかった。
「強い雨じゃねぇから走って帰れっかなて思ったら無理だった」
俺の隣に来て頭を振る。
「飛ばさないでくださいよ」
「あ、悪りぃ。」
「タオル使います?未使用なのありますけど。」
「あー、ありがと。借りるわ」
タオルを渡すと髪を荒くふき始めた。
「こりゃしばらくやまねぇな」
「そうですね」
「カズハはもう少し様子見って言ってたからまだ
学校にいると思うぞ」
「そうですか」
「スイウ、今日誕生日だったよな」
「ええ」
「カズハ、誕生日いつか知ってるか?」
「いいえ。」
短い受け答えが続く
「聞かないのか?」
「聞かれない限りこちらからは聞きませんよ」
「それがわかってるから聞かないのかもな」
ボソッと呟いた
「え?」
「こっちから聞いたら必ずと言っていいほど聞いてくる。それを避けたいから聞かないのかもな」
「聞かれたくない?」
「単純に祝われたくないのかもな」
そこから沈黙が続く。
しばらくすると小雨になった。
「もう少ししたらやむかもな」
雨が止み、雲の切れ間から日の光が差し始めた。
「じゃあ、オレ帰るよ。タオル洗って返す、」
「わかりました」
数歩、歩いて止まった。
「どうしました?」
「柄にもなくお節介なこと言うけど」
向こうを向いたまま言ってきた
「自分から動かねえとなにも変わらねえぞ」