妖の街で出会ったのは狐の少年でした

56話 バックとクリームと時計と

この街に来てから今日で一年
「なんだかんたあっという間だったな」 
布団の中でつぶやいた。
制服に着替えていると一つの小包が置いてあることに気づく。
「ナツキからだ!」
小包の中には手紙も同封されていた
「ショルダーバックだ」
薄いレモン色の小さめのバックだ、
試しにペンケースを入れてみる。
バックに入れると、吸い込まれるように
消えていった。
「え、ちょっと待って!」
慌ててバックに手を突っ込むと簡単に取り出すことができた。
「ブラックホールでも内蔵されてるのか?」
不思議に思いながらも手紙を開く。

学校生活の時はありがとう。
離れても文通のやりとりができる友達ができるなんて今でも驚いてる。
たった2週間だったけど仲良くしてくれてありがとう。本当は直線手渡ししたかったけど忙しいかなと思い郵送にしました。近いうちにそっちに顔を出しに行こうと思ってるの。その時はまた4人で一緒に遊ぼうね。

「ありがとうは私のセリフなんだけどな」
ロクが朝食を持ち入ってきた。
「今日は早いですね」
「あ、おはようロク」
「おはようございます。カズハ様」
朝食をいただき、学校に向かう。
学校に着くと、チヨたちからハンドクリームを
もらった。
「ありがとう、でも今日ってなにかあったっけ?」
「え、今日カズハねーちゃんのた」
猫又の子の口を慌ててスイウが塞いだ
「た?」
「それ言っちゃダメ」
「あ、そっか。」
「本当は、首飾りとか口紅とかにしようと思ったんだけど」
「予算がきつくて」
「でもちょっといいブランドもの?
って言ってたよ」
下の子達からブランド物もらう私って
「カズハねーちゃん/おねーちゃん
いつもありがとう」
「感謝を言うのは私の方、いつもありがとう。」
私は感謝を伝え
クリームをバックに入れ、席につく。
授業を終えてさっそく
ハンドクリームをつけてみると、柑橘系のいい香りがした。放課後、帰ろうとすると
ヨナガ先生に呼び止められた。
「なんですか?」
「これ、あげますよ。」
そう言って渡されたのは紫のベルトの腕時計
「え、ありがとうございます、でもどうして」
「あなたがこの学校に来てから、教室が明るく
なった。協調性が生まれた。生徒の笑顔がふえた、あなたのおかげなんです。その感謝ですよ。
ありがとう、カズハさん」
その顔には穏やかな微笑みがあった
「ありがとうございます、私もこの学校に通うことができて幸せです」

あの人は今か今かとそわそわしてる頃でしょう。
「あなただけ特別の課題があるんですが教員室に置いてきてしまいました。すみませんが教員室に寄ってから帰ってくれませんか?私は別の用事があるので戻れないんです」
「え、わかりました。それじゃあ失礼します。」
彼女は小走りで教員室に向かった。
少し強引だったか?まぁ、いいか
うまく繋げることができましたから
うまく繋げてくださいよ。
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