妖の街で出会ったのは狐の少年でした
58話 ブレスレットと飴と
宿に戻るとミズキさんがカンカンになっていた。
「遅い!」
「ごめんなさい、すぐに準備して・・・え?」
ミズキさんは私服だった。
「あの、仕事は・・・」
「今日はアタシもカズハも休みだよ。
て、聞いてない?」
「え、はい。」
「全く、使いの業務を・・・
まぁ、今回は目を瞑るか。」
珍しいと思った時、ボソッと呟いた。
「時間なかったしな」
「え?」
「なんでもない。アタシの部屋にきてよ。」
「わかりました」
ーミズキさんの部屋ー
「渡す前にアタシの話を聞いてもらってもいいか」
「いいですよ」
「アタシ、結婚してるんだ」
「え!おめでとう、ございます」
藪から棒な話だ
「その、相手って」
「使いだよ。ただ今の使いは二代目。
結婚相手は初代だ」
「初代?」
「彼はアタシの間違った選択のせいで死んでしまった。彼を想う気持ちがあるのは分かってた。でも言わなかった。
認めたくなくて意地を張った結果がこれだ。彼がアタシを想ってくれていたと知ったのは最近で。あったかもしれない未来をなくした。
言いたいことは素直に認めて言っときな。
じゃないと後悔にまみれたアタシみたい
になっちまう。」
泣きそうに、でも吐き捨てるように言った。
「ミズキさん」
「悲しい話はここまでだ。」
声色が変わった。
「アタシからはこれ」
桃色の組紐のブレスレットだ。
「可愛いですね」
「アタシとお揃いなんだ」
ミズキさんはそう言って引き出しから紫のブレスレットを取り出す
「本当だ」
「カズハをみていると昔の自分を思い出すよ。
毎日めまぐるしくまわってさ、でもカズハはアタシより失敗はしてなかったな。遊園地に行くのも無理矢理だったのに、愚痴ひとつ吐かないでついてきてくれてさ。なぁ、カズハにとってアタシは頼れる先輩か?」
「もちろんですよ。いつも感謝してます。
ミズキ先輩」
「ありがとうな、いろいろと。アンタはかわいいアタシの後輩だよ。あ、そうだ。
カズハ。ナグモさんが部屋に来てくれって
伝言」
「え、わかりました。」
ミズキさんにお礼を言って部屋を出た。
「悔しいけど大切りは譲ってやる。失敗するなよ」
「失礼します。ナグモさん」
ナグモさんは真剣な表情だった
「カズハ」
「はい」
「ごめんなさい。約束を守りたい一心で自分勝手にあなたを連れてきた。私がしたことは決して許されることではない。許して欲しいなんて思ってない
でも、矛盾になるけどあなたの幸せを願っていることは本当なんだ。」
ナグモさんは深く頭を下げていた。
「私、真実を知った時は衝撃すぎてなにも考えられなかったんです。でも、1人だった私を救ってくれたのはナグモさんです。空っぽな私を満たしてくれたのはこの街の人たちなんです。私にたくさんの出会いと経験を与えてくれたのは他でもないナグモさんです。ありがとうございます。」
ルイ、あなたの子孫は純粋で真っ直ぐでいい子だよ
やっぱり血筋なのかな
「カズハ、私からはこれだ。」
ナグモさんがくれたのはカラフルな飴の入った
小瓶だった。
「ありがとうございます。ナグモさん。
綺麗ですね。」
「私からはこれで終わりだよ。話聞いてくれてありがとう。もう部屋に戻って休んでよ」
「はい。失礼します」
「カズハ、ありがとう」
あなたの特別な日を祝わせてくれて
「遅い!」
「ごめんなさい、すぐに準備して・・・え?」
ミズキさんは私服だった。
「あの、仕事は・・・」
「今日はアタシもカズハも休みだよ。
て、聞いてない?」
「え、はい。」
「全く、使いの業務を・・・
まぁ、今回は目を瞑るか。」
珍しいと思った時、ボソッと呟いた。
「時間なかったしな」
「え?」
「なんでもない。アタシの部屋にきてよ。」
「わかりました」
ーミズキさんの部屋ー
「渡す前にアタシの話を聞いてもらってもいいか」
「いいですよ」
「アタシ、結婚してるんだ」
「え!おめでとう、ございます」
藪から棒な話だ
「その、相手って」
「使いだよ。ただ今の使いは二代目。
結婚相手は初代だ」
「初代?」
「彼はアタシの間違った選択のせいで死んでしまった。彼を想う気持ちがあるのは分かってた。でも言わなかった。
認めたくなくて意地を張った結果がこれだ。彼がアタシを想ってくれていたと知ったのは最近で。あったかもしれない未来をなくした。
言いたいことは素直に認めて言っときな。
じゃないと後悔にまみれたアタシみたい
になっちまう。」
泣きそうに、でも吐き捨てるように言った。
「ミズキさん」
「悲しい話はここまでだ。」
声色が変わった。
「アタシからはこれ」
桃色の組紐のブレスレットだ。
「可愛いですね」
「アタシとお揃いなんだ」
ミズキさんはそう言って引き出しから紫のブレスレットを取り出す
「本当だ」
「カズハをみていると昔の自分を思い出すよ。
毎日めまぐるしくまわってさ、でもカズハはアタシより失敗はしてなかったな。遊園地に行くのも無理矢理だったのに、愚痴ひとつ吐かないでついてきてくれてさ。なぁ、カズハにとってアタシは頼れる先輩か?」
「もちろんですよ。いつも感謝してます。
ミズキ先輩」
「ありがとうな、いろいろと。アンタはかわいいアタシの後輩だよ。あ、そうだ。
カズハ。ナグモさんが部屋に来てくれって
伝言」
「え、わかりました。」
ミズキさんにお礼を言って部屋を出た。
「悔しいけど大切りは譲ってやる。失敗するなよ」
「失礼します。ナグモさん」
ナグモさんは真剣な表情だった
「カズハ」
「はい」
「ごめんなさい。約束を守りたい一心で自分勝手にあなたを連れてきた。私がしたことは決して許されることではない。許して欲しいなんて思ってない
でも、矛盾になるけどあなたの幸せを願っていることは本当なんだ。」
ナグモさんは深く頭を下げていた。
「私、真実を知った時は衝撃すぎてなにも考えられなかったんです。でも、1人だった私を救ってくれたのはナグモさんです。空っぽな私を満たしてくれたのはこの街の人たちなんです。私にたくさんの出会いと経験を与えてくれたのは他でもないナグモさんです。ありがとうございます。」
ルイ、あなたの子孫は純粋で真っ直ぐでいい子だよ
やっぱり血筋なのかな
「カズハ、私からはこれだ。」
ナグモさんがくれたのはカラフルな飴の入った
小瓶だった。
「ありがとうございます。ナグモさん。
綺麗ですね。」
「私からはこれで終わりだよ。話聞いてくれてありがとう。もう部屋に戻って休んでよ」
「はい。失礼します」
「カズハ、ありがとう」
あなたの特別な日を祝わせてくれて