妖の街で出会ったのは狐の少年でした

70話 偵察

「会ってみるってそもそも、どういう人かの前に名前しか知らないのにどうやって」
ミチルはしばらく考えて
「おばさんに聞いてみるとか?」
そして歩き出した。
「そう簡単に教えてくれるとは」
「おばさん、ナツキの好きな人知らない?」
直球すぎる!
「え?」
ほら戸惑ってるよ。きっとはぐらかすよ
「ごめんなさいね。私も知らないのよ」
普通に答えた!ていうか
「「知らない?」」
またミチルと被る。
「でも、あの街に親友がいるって言ってた」
「他には?」
ミチルは急かすよう言った。
「他は、特に何も」
首を傾げながら思い出すように答えた。
「ごめんなさいね。力になれなくて
でも以前いた街の行き方なら分かるけど」
「「教えて!」」
おばさんに教えてもらい、
山を降り街に向かう
「さて、どうするかな」
ミチルの言葉は無視して
(ここがナツキさんのいた街)
とワクワクしていた。
「とりあえず、誰かに聞いてみよう」
俺がそういう時ミチルは頷いた。
俺たちは向こうから歩いてくる2人の男女に声をかけた。
「あの、」
「はい、なんでしょうか?」
「いきなりですみません。ジュンという方を知らないでしょうか?」
「ジュン?」
女性の方は目を丸くしていた、
「ジュンは私たちの友達ですけど」
女性はおずおずと答えた。
「カズハ様、人の個人情報を簡単に口にするのはどうかと思いますが」
もう1人が呆れながらに注意した。
カズハ?ということは
「あなたがロクさん?」
俺がそういうと女性を庇うように前に出た
「なんで俺のことまで知ってるんですか?」
彼は怪訝そうに答えた。
「俺たち、ナツキの知り合いなんだ」
「だから俺たちのことも
知っていたんですね」
「でもジュンのことを知ってどうするの?」
「それは・・・」
2人して口籠る。
「多分、ジュンならまだ学校にいますよ、」
「ありがとう、ロクさん」
そう言って俺たちは走り出す。

「大丈夫でしょうか」
ロクは呆れて言った
「何が?」
「学校にいるとは言いましたけど学校の場所は言ってませんよ」
「・・・あ」
あの2人ってせっかちなんだ。

「で、迷ったと。」
2人して迷ってしまったところに声をかけてくれた人に助けられた。 
「あの、俺たちナツキっていう女の子の知り合いなんですけど、ジュンっていう男の子
知りませんか?」
すると
「ジュンはオレだけど」
「「え」」
まさか助けてくれた人が偵察するは人だったとは
「オレになんの用だ?」
「え、あー」
ミチルが口籠る中俺はすかさず聞く。
「ナツキの親友だったいうから
どういう人なのかなって」
「そうなんだ。」
「ごめん、オレは2人のこと知らないから
自己紹介を・・・」
「俺はミチル」
「カケルです」
「ナツキのことを知ってるってことは
もしかして、」
「?なんですか」
「・・・いや、なんでもない」
ジュンさんははぐらかした。
俺は居た堪れなくなり
「あの、すみませんがそろそろ失礼します」
と終わらせた。
「え、あ、今度はゆっくりしていってくれ」
「ありがとうございます」
そう言い、俺たちは街を出た。

(結局何しにきたんだろう)
珍しくカズハ、ロク、ジュンの思考が一致
した。

「偵察するはずの相手に助けられるって
すごく恥ずかしいな」
帰り道、ミチルは呟いた。
「言わないようにしてたのに」
「でも、なんかいい人っぽいな」
「その根拠は?」
「勘!」
やっぱり
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