妖の街で出会ったのは狐の少年でした
76話 初日の出
その日の夕食は珍しく蕎麦だった。
「これってもしかしなくとも年越し蕎麦?」
ロクは頷いた。
「年越し蕎麦って、年が明ける直前に食べるのかと思ってた。」
「それでも良かったのですが早朝に出かけるのでやめたほうがいいかと思い夕食時に
変更をしておいたんです」
「そうなんだ。」
私は少し早い年越し蕎麦を食べる。
夕食を下げるのに、部屋から出て行った
タイミングで私はシャワーを浴びようと脱衣所へ向かう。シャワーを浴び湯船に浸かると
「ふいー」
自然と声が出てしまった。
(初日の出、か。)
駄目だ、浮かれて口角が上がってしまう。
鼻歌を歌いながらのんびり浸かり、浴衣を着て脱衣所を出ると布団は敷かれていて、ロクはいなかった。電気を消し布団にはいると
すぐに眠気に誘われ眠りに落ちる。
再び目を覚まし時計を確認すると、6時少し前を指している。布団をたたみ着物を着て袴を着用、黒のタイツを履き髪をハーフアップにして簪を挿す。
部屋を出て、玄関に行くと先にロクが待っていた。何か白い大きめの箱を持っている。
「おはようございます、カズハ様。
といってもまだ真っ暗ですが・・・」
「おはよう、ロク。ごめんね、待たせて」
ロクは首を振り
「さっき来たばかりなので。行きましょう」
私たちは星空を見た、神社に向かう。
(あ、そのマフラー)
ロクは私のあげたマフラーを巻いていた。
嬉しくなり、顔がにやけてしまう。
「気になったんですがカズハ様」
石段を登る前にロクが振り向いたのですぐにロクに背を向ける
「何してるんです?」
呆れた声だった
「なんでもないよ、どうしたの?」
「黒いタイツを履いているとはいえ寒くはないのかと思い」
「私は大丈夫」
「そうですか。あの、どうして後ろを向いているんです?」
「それは聞かないで」
「あ、はい」
今の顔は絶対に見られたくない。
「カズハ様、目をつぶって動かないで
ください」
「へ?」
意味がわからず間抜けな声が出てしまった。
すぐに目を瞑ると首に何かを巻かれる感覚に包まれる。
首の後ろでロクが何かをやっているのは
わかる。
1分もしないうちに
「もう、大丈夫ですよ」
ロクに言われ、目を開けると
「可愛い・・・」
濃い赤色のマフラーだ。
黄色とオレンジのラインが入っている。
「でも、どうし・・・」
ロクに聞こうとして振り向いたら言葉を
失った。
ロクの瞳は少し潤んでいて、頬は赤く染まっていた。
「そのマフラーを店先で見た時、カズハ様に似合うと思い、その・・・迷惑・・・
でしたか?」
「そんなことない、嬉しいよ。ロク」
「そう言ってもらえると嬉しいです。
行きましょうか」
「うん」
私たちは石段を登り始める。
去年は少し先を歩いていたロクが今は私の隣で歩調を合わせて歩いてくれている。
小さなことだが嬉しさが込み上げてくる。
「どうしましたか?」
「え、初日の出、楽しみだなって」
咄嗟にごまかした。
「そうですか」
最後の石段を登り振り向くと空が白み始めていた。そして地平線が、どんどん明るくなり
太陽が顔を出す。
「あけましておめでとうございます」
「今年もよろしくお願いします」
ロクと被ってしまった。
おかしさが込み上げてきて2人して吹き出す
(想定外なんていらない)
(この穏やかな日常が)
((ずっと続きますように))
「これってもしかしなくとも年越し蕎麦?」
ロクは頷いた。
「年越し蕎麦って、年が明ける直前に食べるのかと思ってた。」
「それでも良かったのですが早朝に出かけるのでやめたほうがいいかと思い夕食時に
変更をしておいたんです」
「そうなんだ。」
私は少し早い年越し蕎麦を食べる。
夕食を下げるのに、部屋から出て行った
タイミングで私はシャワーを浴びようと脱衣所へ向かう。シャワーを浴び湯船に浸かると
「ふいー」
自然と声が出てしまった。
(初日の出、か。)
駄目だ、浮かれて口角が上がってしまう。
鼻歌を歌いながらのんびり浸かり、浴衣を着て脱衣所を出ると布団は敷かれていて、ロクはいなかった。電気を消し布団にはいると
すぐに眠気に誘われ眠りに落ちる。
再び目を覚まし時計を確認すると、6時少し前を指している。布団をたたみ着物を着て袴を着用、黒のタイツを履き髪をハーフアップにして簪を挿す。
部屋を出て、玄関に行くと先にロクが待っていた。何か白い大きめの箱を持っている。
「おはようございます、カズハ様。
といってもまだ真っ暗ですが・・・」
「おはよう、ロク。ごめんね、待たせて」
ロクは首を振り
「さっき来たばかりなので。行きましょう」
私たちは星空を見た、神社に向かう。
(あ、そのマフラー)
ロクは私のあげたマフラーを巻いていた。
嬉しくなり、顔がにやけてしまう。
「気になったんですがカズハ様」
石段を登る前にロクが振り向いたのですぐにロクに背を向ける
「何してるんです?」
呆れた声だった
「なんでもないよ、どうしたの?」
「黒いタイツを履いているとはいえ寒くはないのかと思い」
「私は大丈夫」
「そうですか。あの、どうして後ろを向いているんです?」
「それは聞かないで」
「あ、はい」
今の顔は絶対に見られたくない。
「カズハ様、目をつぶって動かないで
ください」
「へ?」
意味がわからず間抜けな声が出てしまった。
すぐに目を瞑ると首に何かを巻かれる感覚に包まれる。
首の後ろでロクが何かをやっているのは
わかる。
1分もしないうちに
「もう、大丈夫ですよ」
ロクに言われ、目を開けると
「可愛い・・・」
濃い赤色のマフラーだ。
黄色とオレンジのラインが入っている。
「でも、どうし・・・」
ロクに聞こうとして振り向いたら言葉を
失った。
ロクの瞳は少し潤んでいて、頬は赤く染まっていた。
「そのマフラーを店先で見た時、カズハ様に似合うと思い、その・・・迷惑・・・
でしたか?」
「そんなことない、嬉しいよ。ロク」
「そう言ってもらえると嬉しいです。
行きましょうか」
「うん」
私たちは石段を登り始める。
去年は少し先を歩いていたロクが今は私の隣で歩調を合わせて歩いてくれている。
小さなことだが嬉しさが込み上げてくる。
「どうしましたか?」
「え、初日の出、楽しみだなって」
咄嗟にごまかした。
「そうですか」
最後の石段を登り振り向くと空が白み始めていた。そして地平線が、どんどん明るくなり
太陽が顔を出す。
「あけましておめでとうございます」
「今年もよろしくお願いします」
ロクと被ってしまった。
おかしさが込み上げてきて2人して吹き出す
(想定外なんていらない)
(この穏やかな日常が)
((ずっと続きますように))