妖の街で出会ったのは狐の少年でした
8話 信頼
今、俺の膝にカズハ様の頭がのっている。あれからカズハ様が、泣き疲れたのか眠ってしまった。布団を敷こうにも動いたら、起こしてしまう。畳に頭をつけるのも痛いのでこの形に落ち着いた。信用してくれてるのはいいが長襦袢姿で寝るのは流石にどうかと思う。俺は羽織を脱ぎ、そっとカズハ様にかける。でもいつも着付けしてるし、今更か。足、痺れてきたなとのんびり考えていると部屋がノックされた。
「はい、どうぞ」
「ちょっといいかしら?」
「ナグモ様!」
俺が振り返ろうとすると、カズハ様がうめき声をあげた。
「そのままでいいよ。あんなことがあったのにすやすやと。よほど信頼しているのね。」
「そうでしょうか?」
「じゃなきゃ、いくら羽織をかけてるとはいえ長襦袢姿で使いの膝に頭を乗せて寝ないと思うけど」
「カズハ様は危機感というものが足りないんです。」
「ねぇ、ロク。」
「なんでしょうか?」
「カズハには言わないの?あのこと。
狙われることもあるんでしょ?」
「今はまだ言いません。隠しきれなくなったら言います。切り札を使うかはカズハ様に委ねようと思ってるんです。できれば俺と同じ轍は踏んでほしくないのですが。」
「カズハのこと、大切なんだね」
「大切ですよ、主ですから。ナグモ様も他の方と比べると随分カズハ様のこと、目に掛けていると思いますが」
「親友との約束なんだ。それを私は最後まで守りたいだけだよ」
ナグモ様は立ち上がり
「カズハが起きたら散歩でもしてきたら?あとこれカズハのお給料、起きたら渡しといて」
「分かりました。」
「んっ」
「起きましたか?カズハ様」
すぐ近くで声がして、私は現状を整理した。すぐに起き上がり、謝罪をする。
「ごめんなさい、ロク。私ったらなにを・・・あ、羽織ありがとう」
自身にかけてあった羽織に目をやる。
「さすがに長襦袢姿で寝るのはどうかと思いますよ。カズハ様」
ロクは呆れながら言う。
「うっ、以後気をつけます」
「あとこれ、ナグモ様からカズハ様への給料です」
綺麗な紺色の丸いお金が二十枚ほど入った袋が、渡された。
「気分転換に散歩でもいきませんか?」
私は制服に着替え、ロクと一緒に外に出る。私たちは呉服屋に入る。
「ねぇロク、私の初のお給料で着物って買えるかな?」
「安いものなら10枚ほどで買えますよ」
「そうなんだ。・・・
決めた。これにする」
私が手に取った着物は、水色で桜の模様が施されてる。帯もセットになっており、帯は薄い桃色のものだった。
会計が終わるとずっと気になっていたことを聞いてみる。
「ねぇ、ロク。ずっと気になっていたんだけど何でずっと仮面をつけているの?」
「・・・仮面をつけている方が落ち着くんです」
「そうなんだ」
それ以上は言及しなかった。距離ができてしまいそうで。
「人間でも生粋の妖でもないマガイモノにこの世界は生きづらい」
ロクがそう呟いていたのを私は知らない
「はい、どうぞ」
「ちょっといいかしら?」
「ナグモ様!」
俺が振り返ろうとすると、カズハ様がうめき声をあげた。
「そのままでいいよ。あんなことがあったのにすやすやと。よほど信頼しているのね。」
「そうでしょうか?」
「じゃなきゃ、いくら羽織をかけてるとはいえ長襦袢姿で使いの膝に頭を乗せて寝ないと思うけど」
「カズハ様は危機感というものが足りないんです。」
「ねぇ、ロク。」
「なんでしょうか?」
「カズハには言わないの?あのこと。
狙われることもあるんでしょ?」
「今はまだ言いません。隠しきれなくなったら言います。切り札を使うかはカズハ様に委ねようと思ってるんです。できれば俺と同じ轍は踏んでほしくないのですが。」
「カズハのこと、大切なんだね」
「大切ですよ、主ですから。ナグモ様も他の方と比べると随分カズハ様のこと、目に掛けていると思いますが」
「親友との約束なんだ。それを私は最後まで守りたいだけだよ」
ナグモ様は立ち上がり
「カズハが起きたら散歩でもしてきたら?あとこれカズハのお給料、起きたら渡しといて」
「分かりました。」
「んっ」
「起きましたか?カズハ様」
すぐ近くで声がして、私は現状を整理した。すぐに起き上がり、謝罪をする。
「ごめんなさい、ロク。私ったらなにを・・・あ、羽織ありがとう」
自身にかけてあった羽織に目をやる。
「さすがに長襦袢姿で寝るのはどうかと思いますよ。カズハ様」
ロクは呆れながら言う。
「うっ、以後気をつけます」
「あとこれ、ナグモ様からカズハ様への給料です」
綺麗な紺色の丸いお金が二十枚ほど入った袋が、渡された。
「気分転換に散歩でもいきませんか?」
私は制服に着替え、ロクと一緒に外に出る。私たちは呉服屋に入る。
「ねぇロク、私の初のお給料で着物って買えるかな?」
「安いものなら10枚ほどで買えますよ」
「そうなんだ。・・・
決めた。これにする」
私が手に取った着物は、水色で桜の模様が施されてる。帯もセットになっており、帯は薄い桃色のものだった。
会計が終わるとずっと気になっていたことを聞いてみる。
「ねぇ、ロク。ずっと気になっていたんだけど何でずっと仮面をつけているの?」
「・・・仮面をつけている方が落ち着くんです」
「そうなんだ」
それ以上は言及しなかった。距離ができてしまいそうで。
「人間でも生粋の妖でもないマガイモノにこの世界は生きづらい」
ロクがそう呟いていたのを私は知らない