妖の街で出会ったのは狐の少年でした
92話 狐
「カズハがここにいるってことは、」
ミズキさんは私を見る
「ロクから聞きました。」
「怒られると思うよ」
困ったような顔で
「覚悟の上です」
「そっか。」
ミズキさんは深呼吸してノックする
「ナグモさん。ミズキです」
中から返事はなく、ミズキさんは扉を開ける。
「失礼します」
ミズキさんは私達に目配せをする。
私とロクも後に続く。
部屋は暗くよく分からなかった。
私に気がつくとナグモさんは吠えた。
「なんでカズハがいるの、喋ったの?ロク」
小さな声で呟いていたがロクの名を強調した。
きつい眼光だけが私に届く。ロクはうつむき
「ナグモ様の意志に背き、勝手なことをして申し訳ありません。でも」
そう言ったと思ったら顔をあげはっきり言った。
「主に後悔させる使いにはなりたくありません」
「ロク」
「カズハもこの宿の従業員で、アタシの後輩です。知る権利は十分あります」
「ミズキさん」
「うるさい」
はっきり聞こえた。ナグモさんの声だ。
「なんでカズハなの。」
「え、私?」
唐突に出た名前に、困惑する
「ルイと同じだ」
ルイさん?
「いつもルイばかり。誰とでも隔てなく接して、表裏のない性格だからみんなに可愛がられて。
私はそんなルイを一歩後ろで見るのが当たり前だった。いつも照らされるのはルイ。私はおまけみたいな
もの。結婚の話だって、お祝いの言葉を言った。一緒に説得も行った。でも、本当は、嫉妬と嫌悪、
憎悪でいっぱいだった。」
前に過去の話を聞いた時、一言もそんなこと言ってなかった。これがナグモさんの本音なんだ。
「ルイは説得が終わったらさっさと人間界に行っちゃって。しかも私に足枷までつけて行った。私の人生をめちゃくちゃにした。」
気丈に振る舞っていても寂しかったのかな
「わかってるよ。こんなことをいう私はおかしいって。今更、こんなこと吐いても変わらない。ただの八つ当たりだ。」
「ナグモさん、」
私はナグモさんの方へ行こうとした。
「カズハ様」
ロクは私を呼ぶと同時に手を掴み制止した。
「大丈夫」
「しかし」
「ロク」
強めに言うとロクは手を掴む力を緩め、私の手はすり抜ける。
私はナグモさんに近づく。
だんだんと目が慣れてきて目にしたのは真っ白な毛並みの
「狐」
口にした時には遅かった、
「見るな!」
「っ、」
私は壁に背中を打ち付けた。
どうやら尻尾で私を飛ばしたんだろう、
たぶん足だったら、打ち付けるだけじゃ済まない。
「カズハ様!?」
ロクは駆け寄ろうとしたが制止した
「来ないで」
ロクはが狼狽える。
「ですが」
「大丈夫だから」
私がそういうと、ロクは止まってくれた。
「出て行け」
ナグモさんの真っ赤な鋭い眼光が怖い。でも
「嫌です」
ミズキさんは私を見る
「ロクから聞きました。」
「怒られると思うよ」
困ったような顔で
「覚悟の上です」
「そっか。」
ミズキさんは深呼吸してノックする
「ナグモさん。ミズキです」
中から返事はなく、ミズキさんは扉を開ける。
「失礼します」
ミズキさんは私達に目配せをする。
私とロクも後に続く。
部屋は暗くよく分からなかった。
私に気がつくとナグモさんは吠えた。
「なんでカズハがいるの、喋ったの?ロク」
小さな声で呟いていたがロクの名を強調した。
きつい眼光だけが私に届く。ロクはうつむき
「ナグモ様の意志に背き、勝手なことをして申し訳ありません。でも」
そう言ったと思ったら顔をあげはっきり言った。
「主に後悔させる使いにはなりたくありません」
「ロク」
「カズハもこの宿の従業員で、アタシの後輩です。知る権利は十分あります」
「ミズキさん」
「うるさい」
はっきり聞こえた。ナグモさんの声だ。
「なんでカズハなの。」
「え、私?」
唐突に出た名前に、困惑する
「ルイと同じだ」
ルイさん?
「いつもルイばかり。誰とでも隔てなく接して、表裏のない性格だからみんなに可愛がられて。
私はそんなルイを一歩後ろで見るのが当たり前だった。いつも照らされるのはルイ。私はおまけみたいな
もの。結婚の話だって、お祝いの言葉を言った。一緒に説得も行った。でも、本当は、嫉妬と嫌悪、
憎悪でいっぱいだった。」
前に過去の話を聞いた時、一言もそんなこと言ってなかった。これがナグモさんの本音なんだ。
「ルイは説得が終わったらさっさと人間界に行っちゃって。しかも私に足枷までつけて行った。私の人生をめちゃくちゃにした。」
気丈に振る舞っていても寂しかったのかな
「わかってるよ。こんなことをいう私はおかしいって。今更、こんなこと吐いても変わらない。ただの八つ当たりだ。」
「ナグモさん、」
私はナグモさんの方へ行こうとした。
「カズハ様」
ロクは私を呼ぶと同時に手を掴み制止した。
「大丈夫」
「しかし」
「ロク」
強めに言うとロクは手を掴む力を緩め、私の手はすり抜ける。
私はナグモさんに近づく。
だんだんと目が慣れてきて目にしたのは真っ白な毛並みの
「狐」
口にした時には遅かった、
「見るな!」
「っ、」
私は壁に背中を打ち付けた。
どうやら尻尾で私を飛ばしたんだろう、
たぶん足だったら、打ち付けるだけじゃ済まない。
「カズハ様!?」
ロクは駆け寄ろうとしたが制止した
「来ないで」
ロクはが狼狽える。
「ですが」
「大丈夫だから」
私がそういうと、ロクは止まってくれた。
「出て行け」
ナグモさんの真っ赤な鋭い眼光が怖い。でも
「嫌です」