恋桜~あやかしの闇に囚われて~
そういえば、先日も別れた女にクズと罵られた。だが、ミツルが数人の女と同時に付き合っていることは、彼女も最初から知っていたはずだ。ミツルが一緒に暮らしていたのは、その中でただひとり、彼女だけ。まあ、大企業に勤める彼女のマンションが一番快適だったからなのだが……。唯一同棲していたのだから、十分本命扱いしていたと言えるだろう。
なぜ彼女があんなに怒ったのかわからない。若い看護師と飲みに行ったのがいけなかったのか、彼女にもらった小遣いで別のOLに指輪を買ったことがばれたからか。おかげで広くて繁華街にも近い住処を失ってしまった。早く新しい恋人を探さなければ。ネットカフェ暮らしは数日で飽きる。
「そういや、この村、日女薙村の謂れって知ってるか?」
和真が赤い顔で、桜吹雪を眺めながらつぶやいた。
「いや、知らねえ」
「日女薙村は、ヒメナキが転訛した名前なんだってさ」
「てんか?」
「そう。もともとヒメナキだったのが、時とともにヒメナギに変わったんだ」
「へえー」
「で、日女薙は当て字で、本当は姫が泣くと書いて『姫泣き村』、あるいは姫が亡くなるで『姫亡き村』だったって説もある」
なぜ彼女があんなに怒ったのかわからない。若い看護師と飲みに行ったのがいけなかったのか、彼女にもらった小遣いで別のOLに指輪を買ったことがばれたからか。おかげで広くて繁華街にも近い住処を失ってしまった。早く新しい恋人を探さなければ。ネットカフェ暮らしは数日で飽きる。
「そういや、この村、日女薙村の謂れって知ってるか?」
和真が赤い顔で、桜吹雪を眺めながらつぶやいた。
「いや、知らねえ」
「日女薙村は、ヒメナキが転訛した名前なんだってさ」
「てんか?」
「そう。もともとヒメナキだったのが、時とともにヒメナギに変わったんだ」
「へえー」
「で、日女薙は当て字で、本当は姫が泣くと書いて『姫泣き村』、あるいは姫が亡くなるで『姫亡き村』だったって説もある」