Graduation 〜卒・行〜
【0】卒業

桜の咲き誇る春🌸

早い地域では、桜吹雪が風に舞い散る。
昔から変わらない、日本の風情を感じる頃。

学校では、別れの刻を迎える。

新たな門出に胸躍る者。
別れを惜しみ涙する者。

それぞれに、それぞれの卒業を過ごす。

期待とは裏腹に、挫折を味わう者もいる。
しかし、若い力は挫けはしない。

自分が過ごして来た道だから。
振り返り、後悔しても何も始まらない。

認めてやり直すか、流されて生きて行くか。
大きな人生の岐路に立つ。

まだ少し肌寒い春風。

その瞬間をどう感じるか。
せれにより、一つの運命が決まる刻《とき》。

『卒業』

この2文字の意味するものは深い。

『卒』は、指事文字(形で表し難い物事を、点画の組合わせで表した文字のこと)であり、神職に携わる人の死や、天寿を真っ当した人の死に用いる衣服を意味し、それが転じて、「おわる」を意味する。

また『業』は、仏語における、人間の身・口・意によって行われる善悪の行為。
或いは、前世の善悪の行為によって現世で受ける報い、を表し、理性によって制御できない心の働きを示す。

これと似た文字に、『行』がある。
仏語では、『業』に似て、さらに広範囲に、善悪のいっさいの行為を示し、転じて、いっさいの移り変わる存在の意にも用いる。

終わり、そして全ての行いから転じる存在。
ではなく。
身体、言葉、心理の制御できない働きとして、人は卒業の刻を迎えるのである。


しかし…

その刻をも、失う者もいる。
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