Graduation 〜卒・行〜
〜千代田区霞ヶ関〜
皇居へと通じる桜田門前。
地上18階、地下4階の警視庁本部ビルがある。
その刑事課の会議室に集まるメンバー達。
「富士本さんは、官邸へ行っているので、課長補佐の私が進めさせてもらう」
刑事課のエース、辻本周《つじもとめぐる》。
鑑識結果と検死報告書のコピーが配られる。
「ちょっと待て。害者が総理の娘だったから、初動は仕方ないにしても、事故だろ?事件性もない様だし、我々が動く必要はないんじゃないか?」
ライバルの笹谷朋久《ささやともひさ》である。
うなずくメンバー達。
(あらあら、派閥争いなんてあるのね)
「ちょっといいかしら?」
「咲…刑事、何か?」
「事件性がないのに、警視庁刑事課が報告に行く訳ないでしょ?この検死報告書、2枚目は何でないのかなぁ?」
「2枚目?」
「そう、2枚目。検死官の豊川さんって人は、もう一枚書いてたわよ」
「ああ、あれか。あれは、検死報告書じゃなくて、彼の現場メモだ。正式なものじゃない」
「じゃあ、鑑識班の目は節穴《ふしあな》ね。鼻っから事故と思ってるから、そうなんのよ」
咲が皆んなの前に立つ。
自然と男どもの視線が下がる。
「こら、お前らどこ見てるんだ?」
「富士本課長!早いですね」
「ああ、途中で報告は要らないと連絡があってな。咲、お前に用があるらしい」
富士本の後に、検死官の豊川が入って来た。
「豊川さん。丁度良かったわ。あなたのメモを見せてくれるかしら?」
「俺もそれを渡したくてな」
豊川からメモを受け取り、貼り出す。
「やっぱりね〜。あれは事故じゃないわ❗️」
「何だって⁉️」
富士本までも驚いた。
「あの照明はここ。被害者はここ。おかしいでしょ?」
「真上じゃ…ない」
「さすが辻本さん!当たり。真上どころか、この位置なら掠りもしないわ」
「でも、100キロ近い機材が、どうやって害者の真上へ?」
「それをこれから調べるんじゃない!総理が咄嗟に警視庁を呼んだのも、何か気になるのよね〜」
「まだあるぜ、咲さんよぉ」
豊川が録画したメモリーを渡した。
「おい、豊川。報道規制で、録画や写真は没収されたんじゃ?」
「いいから、見てみろ」
パソコンで再生する。
卒業生の列が、入ってくるところである。
「ん?被害者の前、えらく空いてるわね」
「だよな。12人目から害者までが、1人分空いてやがる」
「マスコミ向けの特別対応だろう。やりそうなことだ」
「違うわ。…彼女は14人目のはず。卒業生のリストを見たから、間違いない!」
「発表では、彼女以外の卒業生126人は、全員教室で卒業証書を授与されたと…」
「リストでは、卒業生は128人よ。1人足りない…13人目は誰?」
「欠席かリストの間違いじゃないか?騒いでる親もいないしな」
「あっ、今のところ!戻して❗️」
咲の言う通りに戻して再生する。
「ストップ❗️ここ、プリントアウトお願い」
「何なんだ?」
「この彼よ!携帯で録画してる。何か写ってるかも知れないわ。調べてみる」
プリントアウトした紙を受け取り、富士本を見る咲。
「何だ💦…おい、まさかお前」
「行くわよ早く!」
「分かった分かった。まだ運転手やらせる気か💧お前ら、13人目が誰かつきとめとけ❗️」
出て行く2人。
「あの2人…どういう関係なんでしょう…」
唖然と見送るメンバー達であった。
皇居へと通じる桜田門前。
地上18階、地下4階の警視庁本部ビルがある。
その刑事課の会議室に集まるメンバー達。
「富士本さんは、官邸へ行っているので、課長補佐の私が進めさせてもらう」
刑事課のエース、辻本周《つじもとめぐる》。
鑑識結果と検死報告書のコピーが配られる。
「ちょっと待て。害者が総理の娘だったから、初動は仕方ないにしても、事故だろ?事件性もない様だし、我々が動く必要はないんじゃないか?」
ライバルの笹谷朋久《ささやともひさ》である。
うなずくメンバー達。
(あらあら、派閥争いなんてあるのね)
「ちょっといいかしら?」
「咲…刑事、何か?」
「事件性がないのに、警視庁刑事課が報告に行く訳ないでしょ?この検死報告書、2枚目は何でないのかなぁ?」
「2枚目?」
「そう、2枚目。検死官の豊川さんって人は、もう一枚書いてたわよ」
「ああ、あれか。あれは、検死報告書じゃなくて、彼の現場メモだ。正式なものじゃない」
「じゃあ、鑑識班の目は節穴《ふしあな》ね。鼻っから事故と思ってるから、そうなんのよ」
咲が皆んなの前に立つ。
自然と男どもの視線が下がる。
「こら、お前らどこ見てるんだ?」
「富士本課長!早いですね」
「ああ、途中で報告は要らないと連絡があってな。咲、お前に用があるらしい」
富士本の後に、検死官の豊川が入って来た。
「豊川さん。丁度良かったわ。あなたのメモを見せてくれるかしら?」
「俺もそれを渡したくてな」
豊川からメモを受け取り、貼り出す。
「やっぱりね〜。あれは事故じゃないわ❗️」
「何だって⁉️」
富士本までも驚いた。
「あの照明はここ。被害者はここ。おかしいでしょ?」
「真上じゃ…ない」
「さすが辻本さん!当たり。真上どころか、この位置なら掠りもしないわ」
「でも、100キロ近い機材が、どうやって害者の真上へ?」
「それをこれから調べるんじゃない!総理が咄嗟に警視庁を呼んだのも、何か気になるのよね〜」
「まだあるぜ、咲さんよぉ」
豊川が録画したメモリーを渡した。
「おい、豊川。報道規制で、録画や写真は没収されたんじゃ?」
「いいから、見てみろ」
パソコンで再生する。
卒業生の列が、入ってくるところである。
「ん?被害者の前、えらく空いてるわね」
「だよな。12人目から害者までが、1人分空いてやがる」
「マスコミ向けの特別対応だろう。やりそうなことだ」
「違うわ。…彼女は14人目のはず。卒業生のリストを見たから、間違いない!」
「発表では、彼女以外の卒業生126人は、全員教室で卒業証書を授与されたと…」
「リストでは、卒業生は128人よ。1人足りない…13人目は誰?」
「欠席かリストの間違いじゃないか?騒いでる親もいないしな」
「あっ、今のところ!戻して❗️」
咲の言う通りに戻して再生する。
「ストップ❗️ここ、プリントアウトお願い」
「何なんだ?」
「この彼よ!携帯で録画してる。何か写ってるかも知れないわ。調べてみる」
プリントアウトした紙を受け取り、富士本を見る咲。
「何だ💦…おい、まさかお前」
「行くわよ早く!」
「分かった分かった。まだ運転手やらせる気か💧お前ら、13人目が誰かつきとめとけ❗️」
出て行く2人。
「あの2人…どういう関係なんでしょう…」
唖然と見送るメンバー達であった。