火の力を持つ国王様は愛も熱い
急いでリリィ姫様のところ行かなくちゃ…
きっとあのローレンス様にプレゼントして頂いた靴が壊れて泣いてる。
リリィ姫様のお部屋の前の廊下に着くと、お部屋の前でローレンス様が悩んだ様子で歩き回っていた。
「ローレンス様っ」
私はローレンス様に頭を下げた。
「あ、エマ…あのさ、リリィ姫部屋で泣いてるみたいなんだよね…僕、嫌われちゃってるから入ったら余計嫌われそうでさ。泣いてる原因知らない?」
これは、ローレンス様が行った方が良いかもしれない…
私は声をひそめて言った。
「ローレンス様にプレゼントして頂いた靴を転びそうになった時に壊してしまったみたいで…今はローレンス様にお声掛けて貰った方がリリィ姫様も安心するかもしれません」
「そうだったの?…でも、本当に僕が行っても大丈夫かな…」
「きっと大丈夫です、もしまた追い出されてしまったら私が行きます…私外で待ってますので」
「分かった…行ってみるよ」
ローレンス様はそう言ってリリィ姫様の部屋をノックして中へ入っていって私は扉の隙間から見守る。
リリィ姫様の部屋の床にはあの靴が転がっていて、薔薇と飾りのツタの部分が切れてしまっているのが遠くからでもわかる。
ローレンス様はそれを拾ってベッドに顔を伏せて泣いているリリィ姫様の隣りに膝をついて肩を抱いた。
「リリィ姫…そんなに泣いてどうしたの?」
「ふェッ……ヒグッ……ごめ……なさッ……靴」
「壊れちゃった?作ってくれたところ持っていけば直してくれるよ…ほら、泣かなくても大丈夫だから、明日一緒に直しに行こう」
ローレンス様がリリィ姫様の頭を撫でるとリリィ姫様はローレンス様に抱き着いた。
「わざとじゃないのっ…ヒックッ…嫌いって……言ったけど…ヒグッ…この靴は…」
「分かってるよ、この靴気に入ってくれてたもんね…大丈夫、大丈夫」
あの二人、大丈夫そう…
私は扉を閉めてエドの自室へと戻った。