火の力を持つ国王様は愛も熱い
今回はリリィ姫様が一緒だけど、国民にリリィ姫様のお姿は非公開とされている為リリィ姫様は一般人に溶け込む服を着て街へと向かう。
そして仰々しくならないように護衛もしっかり着いてきているけど、街中では護衛が着いてる人間には見えないようにこっそりと着いて歩く。
「受取りに行ってくるから待ってて」
お店に着くとリリィ姫様はそう言って一人でお店に入って行った。
「ねぇ、エマ。リリィとローレンス様の結婚なくなる事ってないのかな?」
「え…うーん……リリィ姫様がこの国に来たのはその為だから」
「はぁ…リリィが二人いればいいのになぁ!」
アル君はリリィ姫様の事を相当好きみたいだ。
「リリィ姫様良い子だよね」
「うん!じぃちゃんの事で落ち込んでる時に親身になってくれてさ、リリィに支えて貰ったんだ」
「えぇ、そうだったんだ」
リリィ姫様も異国の地で一人で大変なのに、リリィ姫様は本当に心暖かい人なんだろうな…
「暇だったから話聞いただけだから勘違いしないでよね!」
ちょうどリリィ姫様が出てきて聞こえたみたいで頬を赤くしながらそう言って否定する。
それから3人でお店を見て回ったり、市場を覗いたり街を満喫した。
そろそろお城に戻ろうかと話しながら歩いている時だ。
路地のところに、少し雰囲気の悪い若い男の人が三人いてこちらをニヤニヤしながら見ている。
嫌な感じがして私はその人達がいる方を歩いて壁になりリリィ姫様とアル君が出来るだけ近くを歩かないようにしながら早めに通り過ぎようとする。
「君達可愛いねぇ、姉妹かな?」
「二人とも早く通り過ぎちゃお」
私は二人に小声でそう言って促すと、男の人の1人が前に立ちはだかってきて道を塞がれる。
「そこ退けよ、俺達にかまうな」
アル君は私達の前に出てそう言うので、私は急いでアル君を後ろに引っ張る。
リリィ姫様は震えながら私の手をギュッと掴んでいる。
大人の私がちゃんと対応しなくちゃ…
「お?何だ、一人男の子だったかぁ~可愛い顔してるから気付かなかったよ」
「俺、可愛い男の子でもイケるぞ…そっちの女の子も美味しそうでいいなぁ」
「すいません、私達急いでるので…」
私は二人を押して先に進ませようとすると、三人組の一人に腕を掴まれた。
「待てよ、俺お姉さん狙いだから…ん?お前…何処かで…」
すると、私服で護衛をしていた護衛兵がやっと集まってくる。
「お、おい…何か急に人が集まってきたぞ…」
「お前達、女性と子供を囲んで何をやっているんだ?」
王族の関係者がいると悟られないように街にいる通行人が助けてくれるみたいに振る舞う。
「ただ道聞いてただけですよ~」
そいつらはヘラヘラしながらそう言って立ち去って行く。
さっき腕を掴んできた人…私の事知ってるみたいだったけど、何処かで会った事ある人だったかな?