火の力を持つ国王様は愛も熱い


「そうだ、国王陛下」

部屋へ戻ろうとするとワイアットさんが思い出した様に声を上げた。

「なんだ?」

「くれぐれも今日が試薬の日だということお忘れなく…」

「わ、わかっている」

今日はキスしない様に念を押されちゃった…

この後キスをすると思われてしまうのはちょっと恥ずかしい。

「ん?じぃちゃん大丈夫だよ!さっき薬飲んでもらったから!」

「うんうん…二回飲まないようにだよ」

エドは複雑そうな顔をしながら部屋へと向かった。

部屋へ着いて、扉が閉まると私はエドに抱き着く。

リリィ姫様とアル君を守らないとって思ってずっと怖いのを我慢していたから早く安心したかった。

「絡んできた奴らに何かされたか?」

「少し腕掴まれたけど平気…」

「クソ…落ち着くまで抱き締めててやる」

エドに抱き上げられて、ベッドに連れていかれるとエドは包み込むように抱き締めてくれる。


無性にエドに甘えたくて私はエドと向かい合わせになると、エドの頬にキスをした。

「あ…キスしちゃった…」

「頬なら問題ない。そんな可愛い事して俺をどうするつもりだ?エマからそういう事するなら何されても文句言わせないからな」

「…エドに甘えたくて…ダメ…かな?」

「ダメなわけないだろ…ダメじゃないけど、キス出来る時にも甘えて来いよな」

そう言ってエドは私の額にキスをする。

キスをしながら背中に手を回されて服のファスナーを下ろされると服がはだける。

エドからもらった高級な下着を初めてエドに見せてから、今まで下着に関心なかったのに王室御用達の仕立て屋さんの新作の下着が出来る度に試作品という名目で届くようになってしまった。

エドの仕事が詰まっていない日の夜はいつもイチャイチャからそういう事もしてて…贅沢だけどエドとそういう事するなら見合う下着を着ないととは思っていたから着させて頂いている。


そして、今日もレースが沢山使われた素敵な下着だ。

下着だけになるとエドは首筋にキスをする。

「今日も脱がすのが勿体無いくらい似合ってるな。エマが美し過ぎてエマの事以外考えたくない」

エドは日に日に沢山愛情表現してくれて嬉しいけど、恥ずかしい…

「…もう…大袈裟だよ…」

「本当の事なんだから仕方ないだろ。こんな愛しいエマと出会えた事で一生の運を使い尽くした気がするな」

「それは私の方だよ、こんなに強くて頼り甲斐があって…心も暖かくて、人の事たくさん考えられる素敵な国王様のエドにこんなに沢山愛してもらえてすっごく幸せだよ」

「っ……あぁ、そうだ…今日はキス出来なかったんだ」

エドはそう言ってギュッと抱き締めてくれる。

お城に来る前は小さい頃の事なのに今でもよく覚えているくらい辛くて悲しい日々だったのに、エドが全部変えてくれた。

感謝してもしきれないくらい幸せだ。

幸せ過ぎてこんな日々がいつか終わってしまうかもしれないと思うとまた不安にもなる。


< 114 / 162 >

この作品をシェア

pagetop