火の力を持つ国王様は愛も熱い
その日から数日が過ぎた日の事。
私はエドと婚約をした時に現在私の身元引受け人となっている私を引き取ってくれた親戚のお家に手紙を書いていた。
その返事の手紙が届いた。
エドと結婚をするにあたって親戚との事を話し合わないといけない。
私が最初にお城に来る事になった時に先代の国王様が親戚のお家と契約書を交わしていた。
契約書の内容は私がお城の仕事を辞める・もしくは、結婚するまでの間のお給料は親戚の方へ支払う事とされ、私が結婚の際には親戚への支払い義務はなくなると記載されていた。
勿論その契約書には親戚の方のサインもしっかりある。
しかし、突然の結婚報告で急にお給料の支払いが無くなるなんて言って納得してくれるかどうか…
エドとも何度も話していて、親戚の方としっかり話して揉める事は避けて双方納得する方法を探している。
この親戚からの手紙も何が書かれているのか見るのが怖いけど、エドと一緒になるにはしっかり向き合わなくちゃ…
手紙の封を開けて中身を見ると、想像とは全く違う内容が書かれていた。
手紙には私の結婚を祝う内容と子供の頃辛く当たってしまった事への謝罪、今まで支払われていたお給料この時の為にずっと貯めていてそれを全て渡したいのでディナーへ招待したいとの事が書かれていた。
意外な内容に驚くと同時にホッとした。
…すぐに返事の手紙書かなくちゃ。
ずっと僅かなお小遣いしかもらえなかっただけだと思っていたけど、きっと小さい頃からお給料をもらって無駄遣いしないように配慮してくれたんだ。
小さい頃の印象しか残っていなかったから誤解してしまって申し訳ない気持ちにもなる。
使用人の控え室で手紙の返事を書こうとすると、控え室の扉が開いた。
「エマ、身元引受け人が来ているぞ」
「えっ」
まさかわざわざ手紙と共に来てくれたなんてまた驚いた。
今日はエドは港での仕事があり、昨日から出ていて明日まで戻らない。
エドに親戚との事は思ったよりスムーズにいきそうな事をすぐに報告できないのは残念だけど、エドが帰ってくるまでに全部済みそうだ。
私は親戚が通された部屋へと一人向かった。