火の力を持つ国王様は愛も熱い


部屋へ着くと中にはおば様が一人だけだ。


最後に会ったのは子供の頃だったからおば様が小さくなったように感じた。


おば様は私の顔を見るとすぐに抱き着いた。

「エマっ…こんなに大きくなって……結婚おめでとう」

「あ…あの…お久しぶりです……ありがとうございます…」

折角お祝いしてくれているというのに、過去の事が邪魔をして動揺してしまう。

「手紙にも書いたけど、エマが小さい頃辛く当たってしまって本当にごめんよ…あの頃うちも生活が苦しくて苦しくて…何かにつけて上手くいかなくてエマには強く当たってしまって…エマを城へ出してからずっと後悔していたんだよ」

「小さな頃の事は気になさらないでください…両親を亡くして行く宛てのなかった私を引き取ってくださっただけで感謝しています」

「エマ…小さい頃から優しい子だったから全く変わっていないね…それで結婚相手はお城に仕えてる人なのかい?」

「はい、お城で知り合った方で…」

身元引受け人のおば様でもずっと会っていなかったし、相手がエドということは伏せておくことになっている。

「そうかい、そうかい…今度紹介してもらわないとね」

「はい…」

「それで急だけど、今日は今夜うちのディナーにエマを招待したくて迎えに来たんだよ。来てくれるだろ?」

「え?今夜ですか?」

確かにディナーに招待したいって手紙にも書いてあったけど、今夜だったなんて驚いた。

エドが帰って来るのは明日。

エドはすごく心配性で、いない間はお城で過ごす様に言われている。

「はぁ…やっぱりうちには来たくないわよねぇ…いくら謝罪しても許してくれないわよね…うぅ…」

おば様はそう言って泣き出してしまった。

昔の事相当気に病んでるっていうのに…

「そんな事っ…そしたら、折角なので今夜のディナーご一緒させてください。ご招待頂きありがとうございます」

「そうかい、そうかい…そしたら、このままうちの馬車で家に向かおう」

ディナーだけいただいて帰ってくるだけ…

私はお城を出る前に護衛兵に行先を伝える。

「ダメだ。国王陛下よりエマの単独での外出は禁じられている」

「おば様の家とお城の往復だけなので…お断りするとおば様が気を病んでしまって泣かれてしまうのです…どうしてもダメでしょうか?」

「うーん…エマの身元引受け人とも揉めないように命を受けてるからな…それでは外出の間エマに護衛兵をつける。エマの送迎も城の馬車を使用することにする」

「私なんかにそんな護衛兵の方と馬車の用意なんて…」

「国王陛下の大のお気に入りのエマに何かあったら我々がまずいことになるんだ、窮屈かもしれんが我慢してくれ」

少しの外出で大騒ぎさせてしまった…

今回は上手く断ってエドが戻ってきた後に改めて伺わせてもらえばよかったかな。

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