火の力を持つ国王様は愛も熱い
そして、お城の馬車に乗せてもらい、おば様の家へと向かった。
家を出たあの日からおば様の家のある区画には訪れた事はなく、家に行くのもあの日以来だ。
到着すると、おば様の家はあの頃と全く変わらなかった。
あまりにも変わっていなくて…少しだけ辛かった時の事を思い出す。
「さぁ、上がってちょうだい!護衛の方は中までは遠慮してくださらない?」
ここまで来て一人でおば様の家に入るのがむかしの事を思い出して怖くなってしまった。
護衛兵と顔を見合わせる。
「家主があぁ言ってる以上無理矢理入る事は出来ない。我々はディナーの時間が終わるまで玄関前で待機しているから何かあれば大声で呼ぶように」
「…はい、分かりました…護衛と送迎感謝致します」
一人で家の中に入るのは心細いけど私は頭を下げておば様の家の中へと入った。
「…使用人1人に護衛つけるなんて城ってよほど暇なのね」
家の中に入るとおば様はポツリとそう言った。
何となくおば様が昔に戻った様に感じるけど…食事をご馳走してくださるって言ってるんだから厚意はキチンと受けなくちゃ…
おば様についていくと、ダイニングルームへと着く。
「今から食事並べるから席に座っててちょうだい」
「お食事の準備お手伝いします」
「いいのよ、座って待っていて」
おば様はそう言って私の肩に手を乗せて私はダイニングテーブルの席に座らせられる。
その時だった。
他の部屋にいた男の人がダイニングルームへとやってきた。
「!」
その男の人はなんと、この前街で絡んできて私の腕を掴んだ人だった。
なんで、この人がおば様の家に……
その時ハッと思い出した。
小さい頃だったから顔とかほとんど覚えていないけど、おば様の家には私と年の近い男の子がいてよく髪を引っ張られたり、意地悪されたりしていたのを思い出した。
まさか…あの男の子……名前は確かダズだ。
「やっぱり街にいたのエマだったんだな」
「……あ、あの……ごめんなさい…やっぱり後日……改めて伺わせて頂きます…」
立ち上がろうとすると、おば様に肩を押さえられて止められてしまう。
「ここまで来て何言っているんだい?私達家族の恩を忘れて厚意も断る気かい!?」
おば様の顔は昔に戻っていて、小さい頃の事を思い出してしまって震えてしまい、動けなくなってしまった。
「…いえ…ごめんなさい…」
「そうよね?すぐに用意するから息子とお喋りでもして待っていて」
おば様がキッチンに行くとダズは私の隣に座って私の椅子の背もたれに腕を乗せる。
「エマ、俺の事覚えてるか?」
「…ダズ……?」
「よく覚えてるじゃん、もしかして家にいた頃俺に気があったか?」
ダズはそう言って私の肩を抱き寄せてくる。
「ごめんなさい…あの…私、今婚約しているのでこういうのはちょっと…」
「あぁ?お前、国王の専属メイドなんだろ?国王の性欲処理してても受け入れてくれるくらいの婚約者なんだからこのくらい問題ねぇだろ」
早くお城に帰らなくちゃ…
私、どうしてここに呼ばれたんだろう?
今は時間過ぎるの待って、この先もう関わらないようにしなくちゃ…