火の力を持つ国王様は愛も熱い
今エマを暖めたところでエマが助かるかどうかなんてわからない。
それでも俺はエマの体温が戻るまで抱き締め続けた。
「………ハァ………ぇ……ド……?」
「エマ………良かった……目覚ました……」
エマが目覚めた声が聞こえると俺はそのまま気を失った。
どのくらいの時間気を失ってしまったのだろう…
体が熱い…薬を飲まなくては……
その意識はあるのに、体が目を覚まさない。
エマは目を覚ましたというのに、俺はこのまま力を抑える薬を飲めずに死ぬのか…?
その時、唇に柔らかく、冷たい何かが押し当てられるとやっと目を開ける事が出来た…
目の前にはエマがいて、驚いているようだった。
「エドっ…気が付いた!?」
「エマ……」
エマが俺の手を握っているのに気が付くとエマは慌てて手を離すが、俺はすぐにその手を掴んで握った。
「何故離す!?」
「だって…気を失ってる時に私勝手に…」
「遠慮する事ないだろ…それに、キスもしただろ?」
「それはエドの薬切れちゃうから……ふゥッ…」
エマの目からポロポロと涙が溢れて来る。
抱き締めようと思ったが、俺はすぐに手を止めた。
「……抱き締めても大丈夫か?あの男に酷い目に合わされただろ」
「ん……エドなら平気…」
それを聞くとエマを引き寄せて抱き締める。
抱き締める時に自分の腕に点滴が刺さっててギョッとする。
「2日…2日も目覚めなかったの……」
「2日も経ってたのか!?悪い!エマの事を助けるはずが!体は何ともないか?」
「うん…大丈夫…まだ少し怪我残ってるけど大した怪我じゃないから…エドが助けてくれたから…ヒグッ…いつも守ってくれてありがとう…」
「いつも守って貰ってるのは俺の方だ…」
その後医者に診てもらい、完全に回復するまで時間は掛からなかった。
そしてエマの身元引受け人の調査が急がれた。
そこで身元引受け人とエマは親族関係ではなかった事が明らかになった。
うちの国では人身売買は完全に禁止されているが、当時孤児を安く手に入れ小間使いとして働かせる事が闇で流行っていたという。
使用人を雇うよりも安価で小間使いを手に入れる事が出来、加担していた孤児院があり遠い親戚として処理していたらしい。
その後の調査でエマの身元引受け人の家の床下から商会長以外にも子供の骨が見つかった。
尋問によるとエマが城へ行ったあと再び子供の奴隷を手に入れて家の仕事をさせていたら餓死してしまったと言う。
婦人と息子は他にも余罪があり、うちの国で最も重い終身刑となり、中心部からかなり離れた国領内にある囚人を収監している離島へと流された。
現在、婦人は孤児売買の中心人物なっていた為そこから斡旋している孤児院を割り出し、一気に検挙。
国内の全孤児院を対象に対策を見直す事となった。