火の力を持つ国王様は愛も熱い


~エマside~



1年後。


「新郎エドワード。 あなたはここにいるエマを
病める時も、健やかなる時も富める時も、貧しき時も妻として愛し、敬い、慈しむ事を誓いますか?」

「誓います」

「新婦エマ。あなたはここにいるエドワードを
病める時も、健やかなる時も、富める時も、貧しき時も、夫として愛し、敬い、慈しむ事を誓いますか?」

神父様にそう問われた時、ふとエドの方を見ると目が合って一緒に頷いた。

「誓います」

「それでは誓のキスを」

お互い向き合うと、エドは私のベールを上げる。


緊張して震える…


するとエドは震える私の手を握って小声で話し掛けてくれる。


「…大丈夫か?」

「…うん、ちょっと緊張してるだけ」


エドはいつもすぐに私の事を気遣ってくれる。
そんな優しいエドに何度も恋をしてしまう。



息をはいて気を取り直して瞼を閉じる。



そして、誓のキスを交わした。



国中の人達がエドと私の結婚式に駆けつけてきてくれて、誓のキスを交わすと大歓声と紙吹雪が舞い、盛大な結婚式となった。


たくさんの人達がエドの結婚を泣いて喜んでくれて、国民やお城に仕えている人達と触れ合う度にエドの人柄の良さを実感する。


おば様の家に捕らわれた時はもう永遠にエドと再会する事は出来ないかと…


絶望と恐怖の中足の指を切られそうになった時、私は無意識の中で初めて水の力で周囲に発生させた。


自らの意思でやった事ではないし、あんな酷いことをされたけどダズを私の力で危ない目にあわせてしまってしばらくショックだった。


あれ以降水の力が発動する事はない。
私の心のケアと孤児院制度の見直しでこの一年すごく忙しかったけど、この日を迎える事が出来て本当によかった。


国王であるエドの結婚式は挨拶回りで大忙しだ。


ローレンス様とリリィ姫が来て見知った顔にやっと一息つけた。

「エドワード王様、エマさんおめでとうございます!エマさん、ウエディングドレス姿とても素敵です!」

「ありがとう、リリィ姫様の今日のドレスも…」

改めてリリィ姫様のドレスを見ると一番最初にリリィ姫様が来た時にローレンス様がプレゼントした靴と合わせたデザインのドレスだ。

ドレスをモチーフにしたような素敵な靴だったから合わせるともっと素敵だった。

「もしかしてそのドレス、靴と合わせたデザインですか?」

「はい、ローレンス様が用意してくださったので…ほ、本当は自分で用意するつもりでしたけどっ」

「リリィは相変わらず素直じゃないなぁ、あげた時喜んでくれただろ?そうだ、僕からも…兄上、エマ結婚おめでとう。エマ、今日のウエディング姿すごく綺麗だよ」

「なんだか、恥ずかしい…ありがとう」

「あ………」

ローレンス様からお祝いの言葉を頂くと、エドが急に眉間にシワを寄せて声をあげた。


「え?どうしたの?」

「いや…」

「そうだ!兄上、エマのウエディング姿の感想ちゃんと伝えた?」

「うるさい…」

「まさか、言ってないの!?しかも、今気付いたでしょ?うわぁ…エマはこんな綺麗な花嫁さんなのに…」

「えっと…今日すごくバタバタしてたからっ…気にしてないから大丈夫だよ?」


エドは明らかに動揺していて、私は急いでフォローをする。

今日のエドは朝から緊張していて、ウエディングドレスに着替えた時も誰よりも先に見たいって言ってくれて控え室に来たけど何も言わずに先に会場へと向かって行ってそのまま結婚式が始まった。

「もうー!ローレンス様、エドワード王様に意地悪するの止めなよ」

「僕は結婚する時ぜーったいリリィに言い忘れたりしないからね」

ローレンス様はそう言ってリリィ姫様を抱き寄せる。
リリィ姫様は以前ならローレンス様がくっ付いてくると振り払っていたけど、最近では気にしなくなったみたいだ。

すると、エドは私の肩を掴んだ。


「……悪い……なんというか……最初に見た時に言いたかったが……その…美し過ぎて…俺の花嫁なんだって思ったら…息が出来なくなってだな……二人になった時に言おうと思ったが……エマ、この世の誰よりも綺麗だ」


エドは顔を紅く染めながらそう言ってくれた。


すると、周りにローレンス様達を含めた周りにいた人達はそんなエドを微笑ましく暖かな笑いで盛り上がった。





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